ウラガワ
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社会の裏側、ヤクザな世界。
金の流れを探るのにも、それなりの信用や…『色々』が必要になる。
いつの間にかカジノオーナーとの間に『仲がある』と噂される立場になったナナシは、ざくりとした印度更紗にスパンコールのドレスで現れた。
本日のカジノディーラーとしての仕事、『ただのお飾り』。
金の話で見向きもされないのだろうが、少しの華もないというわけにもいかないらしい。
重たいピアスに引っ張られて痛む耳たぶを少し気にして、ナナシは面倒臭いのが表に出てしまわぬよう、キリリと引き締まった笑顔で車を降りた。
ダイスのロゴが入った白い招待状をバッグから出し、重そうな扉の両脇に構えた黒服に向かってヒラヒラと振る。
開かれたフロアへ吸い込まれようとした印度更紗のドレスの横に突然男がビタリと並び、剥き出された腕を断りもなく取った。
失礼な男を睨みつけて腕を振り払おうとした瞬間、ナナシの心臓が一度ドクリと跳ねた。
後に続いた鼓動も完全にリズムを崩し、不規則に打ち始める。
「……ひとりじゃあ信用できませんでしたか?」
肩で吸い込んだ息をそうっと吐き出し、ナナシは高潮した顔に気付かれまいと視線を正面へ戻した。
重いかざりを付けた耳たぶが異常に熱を持つ。
「エスコートも無しなんて、みっともない真似をさせられるか?」
事も無げに言った男……リゾットは、上質な光沢をもつ黒いシャツにタイを締め、白いスーツの上下に身を包んでいた。
いつも無造作に散らけた髪も後ろへ流してセットされ、引き締まった面立ちを際立たせている。
普段はラフなオープンシャツか何かにブラックジーンズ、もしくは頭の天辺から爪先まで隙のない『ヒトゴロシ』の装束。
どれも黒ばかりで、それがリゾットに貼り付いた色だと思っていた。
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