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「…イル、」
「何?」
「くすぐっ…たい」
「うん」
一角にシャワールームが設えられているために、必要以上にジメジメとする仮眠室。そして、その湿度を吸ったマットとシーツが湿っぽいベッド。
任務空けだ飲み過ぎだと誰彼構わず横になり、中心部分のスプリングがヘタっているコレが、俺はとてつもなく嫌だ。
そこに、ナナシが眠るためだけに横になる。
睡眠導入剤を入れ重くなり始めた目蓋は、まばたきの回数も多くなってきた。
あたたかくなった彼女の体を、微塵も眠たくない俺は手持ち無沙汰に撫でている。
腕枕をしたまま柔らかい髪に顔を擦りよせてみたり、寝着の前ボタンの隙間から、柔らかく肉の付くヘソ周りを指でさすってみたり。
「…イル」
呼ばれるのは何度目だ?
ほんのわずかに体を捻るが、俺の腕の中から逃れようという気が無いのは百も承知。
出来るだけ甘く、眠りを誘うように『見せかけた』愛撫で、内部を溶かしていく。
この体の性感帯は、きっと『誰』よりも…本人よりも知っている。
「ん、」
ゆっくりと、気付かれないように徐々に追い詰めて、ドロドロの中に引きずり込む。
ユメとウツツの間で、精神がカラダの欲求に堪えきれなくなるまで、できるだけゆっくりと。
「…ぅ…」
触れている肌の温もりが、手のひらの中で少しずつ湿った熱へと移り変わる。
少なくとも、性行為の最中にしつこく触るような部分以外を、じっくりと愛撫して。
───気持ちいい、な。
摩擦で血行の良くなった自分の指先も暖かくなってくる。
そのうちに、もどかしげに体を捻ったナナシはこちらに向いた。
「イル…」
「寝ていいよ。勝手に触ってるだけだから」
「ッ…ん」
「心配しなくても、これ以上はしない」
生まれる欲をシーツの隙間の影に隠すように偽って、暗い優しさを体中に指で塗りたくる。
心の波が凪ぐような、口先だけの甘い嘘を吹きかけて。
薄く涙をたたえたまどろむ眼は、完全に肉欲に飢えていた。
それでもしつこく性の快楽を探り、強いていく。
ナナシが自分から求めるまで、理性と肉体の快楽を完全に遊離させてやればいい。
「イルーゾォ」
「…何?」
物欲しげな眼差しでキスをねだって顔を寄せる、その唇を指でやわく撫でてやった。
「したいの?」
「…うん」
タイミングを見極めてじっくりと時間をかければ、ナナシは簡単に陥落した。
ヒトをコロシ終えたあとに悦楽を求めるバイオリズムは、ナナシの中に深くいやしく刻み込まれている。
精神的なストレスに対するご褒美。オアズケくわされることを、身体は我慢出来ない。
つまりは『欲求不満』ということなのだけれど。
押しつけ合う唇が笑いそうになるのを我慢して、そろそろ触れてほしい箇所を柔らかい太ももに押し付けた。
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