ナイフのはなし
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「……チッ」
グレードの低い安酒は、ホルマジオがソムリエナイフを通しただけでコルクをボロリと崩れさせた。
目が揃い、きっちりと詰まったコルク栓のものはそれなりに味も期待できる。
つまり…これの中身は大したことがなさそうだ。
「ヘッタクソ」
寄越せ、とワインボトルを横取りしたギアッチョが力任せに引っ張り抜いた。
ボロロッ!
口でさらに崩壊したコルクのかけらが瓶の中にも落ちた。
「ソムリエナイフは、もっとスマートに使うものじゃあなかったか?」
トリッパを取り分けようとしていたスプーンで空のグラスをチンチンと叩き、プロシュートが嫌味とともに酒の催促をする。
ざまぁみろと笑うホルマジオに、「オメーの刺し方が悪かったんだ」と悪態を付き、今更どうしようもなくなった酒瓶を突き返した。
彼女はフゥとため息を付き、目の細かいザルとデカンタを持ってくる。
細かいコルクくずの浮いたワインはうっすらと木の香りが移り、独特の味になった。
「ほう、悪くないな」
一口舌に乗せたリゾットは、グラスを掲げて赤い中身を窓に透かした。
「災い転じて、ですかね」
リゾットの差し出したグラスに口を付けた彼女も、深い森の香りのような風味にウンウンと頷く。
グラスに口をつけたペッシだけがムゥウっと顔をしかめ、小さなコルク片の乗った舌をベッと出した。
THEE END
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