ナイフのはなし
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アジトの壁にかけられた古いダーツ版は、最近のプラスチックダートを投げるようなものではなく、先にニードルのついたダートを打ち込む昔ながらの木製だった。
これでもかと打ち込まれ続けたおかげで、赤と黒のフェルト地のターゲットマークもところどころが剥げ、下のコルクが露出している。
それでも、点数などお構いなしに時々誰かがダート(と、その他)を投げては持て余した隙を潰している。
つとん。
リゾットが投げた白い刃が、当たり前のようにインブルに突き立った。
ダートではなく、テーブルの上に整然と並べられた何本ものナイフ。
イルーゾォも一本を取り上げ、利き手でスローイングした。
リゾットのナイフを避けるように、間下に突き刺さる。
「それ、上手くなったほうがいいですか?」
読む気もなく開いていた雑誌を膝にのせたまま、彼女はじっとその様子を見ていた。
「いや、必要ない」
つとん。
リゾットが放った二本目が、イルーゾォのナイフのさらに下に並んだ。
「何かと便利そうですけど」
「これを使えンのはリーダーだけだ」
かっ、からからん。
イルーゾォがオーバーアクションで振りかぶったナイフが、インブルのナイフの真上に刺さった。
木製の柄がパキ、と割れて二本が下に落ちる。
「こんなモン残してみろよ、収集のつかない事態になるだろ?」
「イルーゾォはいいの?」
「俺はただの趣味」
二人のやり取りを聞きながら、リゾットは次を一投した。
カラン。
「「リーダー…」」
「…間違えた」
『ナイフ』はインブルに命中したが、ボードに刺さることなく下に落ちる。
投げたのは、先ほどまでペッシがクラッカーにレバーペーストを塗っていた『バターナイフ』だから、刺さるはずもない。
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