ナイフのはなし
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「ヒャッハァ!マジ無理!ちょー怖えぇ!」
時々はメンバー全員が揃って食事を取るテーブルで、ホルマジオが大口を開けて楽しそうに喘いだ。
口をとがらせ「フゥウゥー」と大げさに息をつき、すぐ横にくっついているメローネを見る。
「な?うまいだろ」
テーブルに置かれたホルマジオの手の指は大きく広げられ、その間をカッカッカッと往復させていたのだ。
普通はボールペンあたりでやるそれを───ナイフで。
「メローネ、すっごい!」
「オレくらいにしか出来ないけどね」
俗っぽいゲームだが、その華麗なナイフさばきに彼女は心底感心した。
フフンと勝ち誇るメローネの後ろにそっと近づいたプロシュートが、つっとナイフを取り上げた。
「俺もコレは結構得意だ」
覆い被さるように後ろから掴んだメローネの手を、無理矢理テーブルに押し付ける。
「ちょっ、やめろよ!信用できない」
アシンメトリーカットの、むき出している方の耳にプロシュートは静かに呟いた。
『昨日は随分お楽しみだったみたいじゃあないか』
「やめ……やめようぜ、プロシュート。な?」
笑いを張り付けたままのメローネの首に嫌な汗が伝う。
『アジトに女ァ連れ込むなっつったよな?バスルームは声が響く。それでも手ェだすのは、この指が悪いのか』
「はは、は、お前がこんなおフザケ珍しいな」
メローネにすり寄るプロシュート、という珍しい光景に、彼女もホルマジオも顔を付けあってヒソヒソと何か話している。
「そうだな、ただのおフザケだ。ちょっとおフザケが過ぎて『事故る』か も な 」
肩の位置まで振りかぶったナイフが、ズダン!とテーブルに突き刺さった。
平たい刃は、中指と薬指ギリギリに落ちている。
すーっと血の気の引いた彼女とホルマジオの方に顔を上げ、プロシュートはくいと口端を上げて見せた。
「な?うまいだろ」
ガクガク頷く2人を満足げに見て、メローネの耳に低い低い声で小さく小さく呟く。
『おっ勃ててんじゃねーよ変態』
「……クク、ふふふ」
テーブルの下で主張している自分の根元を、メローネは反対の手でくっと握っていた。
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