ロジャア
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目立たないように様子見、という当初の目的は無かったことになっていた。
面白そうな賭けに客もディーラーも注目し、いつの間にかルーレットの周りには人が集まっている。
ルージュ・ノワールで勝ち続ける長髪男、時々負けながらもガツガツとチップを増やす二人の男、賭けの対象になったディーラーの女。
「そろそろ閉店時間ですが、いかがなさいますか?」
リゾットとプロシュートのコンビが男と並んだところで、機械的に球を放っていたナナシが声をかけた。
「そうだな。じらされるのももう十分か」
「最後はオールでいいな」
男とリゾットが睨み合う。実際、ナナシのことなどどうでもいいのだろう。
これはただ、プライドを賭けたゲームになっていた。
「では、ラストゲームと参りましょう」
何となくそれが解っているナナシ#は鮮やかな手付きで最後の一投をし、意味ありげに笑った。
「ルージュだ」
リゾットが、チップの山を崩しながら赤い菱形へと押しやった。
「ノワール」
同じように、男は黒い菱形に押し出した。
四角の中に並ぶ数字の上に、勝っても負けても手元に戻る必要のなくなった二組ぶんのチップがざぁっと散る。
シィィッと音を立てて運命の輪を廻っていた銀色の粒はそこに集まった全員の視線をうけ、
やがて、ポケットに落ちた。
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