ロジャア
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「黙れリゾット」
だからコイツとカジノに来るのは嫌だったのだ。
と、プロシュートを連れてきたことをリゾットは今更後悔した。
が、時すでに遅し。
キツめのグラッパを何杯か引っ掛けた挙げ句、ただでさえ人目を引く容姿だというのに、その長い足を悠然と組み、トランプを手にしてポーカーチップの山を築き上げている。
「目立つな」などというリゾットの先の言葉は右から左。
いや、むしろ耳にすら入っていなかったのかも知れない。
ここは街一つが丸々ギャンブルで成り立つ砂漠のド真ん中、ネオン管がよじれて文字をビカビカ輝かせるラスベガス。
大きなバカラグラスのシャンデリアきらめく、カジノの大フロア。
……などとは程遠い、イタリアンマフィアの牛耳る地下カジノ。
政府の目も日の光も届かない、薄暗い地下。
しかしここでも、巨万の富を一晩で手に入れる事ができるし、それを失うやつもいる。真っ当に働いている人間からすれば、目ン玉の飛び出るような額だ。
ベガスならいざ知らず、容姿端麗、俺様オーラを撒き散らしてブラックジャックをするプロシュートは目立ちすぎている。
鏡張りの柱の前、ナナシがルーレットを前にして立っていた。
背中も胸元も大きく開いたホルターネックのブラウスに蝶ネクタイ、ウエストをシルクのカマーバンドで締め上げて、ディーラーサイドで玉を放っている。
カジノホストの金の流れを探る、本筋とは少々異なるのだが、珍しく血が流れずに済みそうな任務。
ナナシがチームに入ってから、上に流す情報の量と質が各段に向上したのを受けてのことだ。
「……フン」
引っかからない所が無いわけではなかったが、リゾットはプロシュートの前から一握りチップを掴んでルーレットチップに交換した。
どのくらい前から居るかは知らないが、隅に座った筋骨たくましい長髪の男がルージュ・ノワール(赤・黒の2択)に賭け続け、大勝するわけではないが順調に勝ち続けている。
ナナシの目の前には女が気怠そうに煙草をふかし、しかし眼光鋭く玉の行方を見守っている。
「どちらに?」
リゾットが近付くとナナシが声をかけた。
無言でオッズボードの赤い菱形にチップを置くと、ボード端の男も無言でそこにチップを置く。
エドワードジャケットを着た太った男と、気怠そうな女が共にアウトサイドベットした所で
ナナシが手元のベルをチンと弾いた。
「ルージュ・23」
バーでざくりとチップが目の前に寄越される。
エドワードジャケットの太った男が少額を手にボードを離れた。
「参ります」
ナナシが投げ入れた所で、元手が減った女が唇をひん曲げて全てをルージュに置き、隅の男はノワールに賭けた。
「いかがなさいますか?」
「様子見だ」
リゾットが言った所でナナシがチンとベルを鳴らした。
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