──────boogie
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…ちょうど日の落ちる時間だったかな。
二つ先の角の店にキューバ産のロイヤルハバナを買いにいってきた帰り。
ギアッチョに頼まれたんだよ、オレはあんなクサい煙草吸いたくないね。 …で、太陽が真っ黒に塗り潰された空で、大きな水色の月が光ってたんだ。
月と緑色の金星の隙間に流れた彗星が長いシッポをつけたままアジトの窓から飛び込んだ。
クリームイエローのトマトソースの鍋をひっくり返されてペッシが大慌て。
プロシュートが大事に飲んでたグレンリヴェットの瓶を逆さまにしたら、ゴルゴンゾーラチーズと化学反応起こしてピンクの水蒸気がもくもく!
アジトは桃源郷みたいないい匂いの霧で覆われてホルマジオは気持ちのいい夢の中、ソルベが置いてった逆さ吊りのジャケットに住んでたモモンガが札束抱えてジェラートのズボンへ引っ越しの真っ最中。
一緒に住んでたミルクヘビが寂しくて泣いたら、鼻の穴から出てきたドロドロの涙がコケティッシュなダンスを踊ってたペリカンのほうへ津波になって押し寄せた。
つるんと滑ったペリカンの袋が9mmパラベラムをひと箱ぜぇんぶ飲み込んだもんだからギアッチョがぷっつん!
大きなハサミを持ち出して(あぁ、シザーハンズのエドワードにそっくりだったよ、何枚も刃がかさなっててね) イルーゾォの鏡をガンガン殴ったんだ(ギアッチョは動物をイジめないんだぜ優しいなぁ!)。
びっくりしたレコードが全部空に飛びあがって、UFOみたいに回る間にドーナッツになっちまって、どうしようもなく腹が減ったオレはストロベリーチキンとチョコレートタンゴのかかったのを捕まえてパクリ!とっても甘いと思ったら、奥歯の隙間でシンディローパーが歌い出した。
悲しいメロディが髪の毛の先でビュンビュン反響して左足の親指がビリビリ痺れて、ついにオレは大きな声で泣き出したんだ。
そしたらギアッチョは20年前の新聞を丸めて「やかましい!」ってぶん殴った。
印刷された文字から飛んだ紫のインクが真っ白い花柄スカートに大きな穴をあけて
ナナシが金切り声を上げたから、ぐっすり寝てたホルマジオが飛び起きてフタの開かないブルーベリージャムのビンを投げつけた。
ルビー色のビンが当たった拍子に冷凍庫が開いて、黄色い氷の中に閉じ込められてたキスが息を吹き返す。そいつがタイムの茎を武器にペッシへ向かっていったから、プロシュートが怒って殺虫剤を辺り一面に振りまいた。
金ピカピカの粒子と桃色が市松模様になって何にも見えなくなって、白い鏡に逃げ込んだイルーゾォはどさくさ紛れに
ナナシにキスをして、赤いコショウも灰色のオリーブもストリッパーからかかってきたお誘いの電話の音もカーテンをふくらました外の風もみんな透明になってコナゴナ!!
…と、そんな騒ぎに巻き込まれたリーダーの大事なバカラグラスも割れちゃった。ごめんね」
「お前はもう少しマシな嘘がつけないのか?」
にこやかなメローネが息継ぎもなく語った物語に毒気を持ち去られ、リゾットは割れた硝子の破片に大きく息を吐き出した。
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