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───ドン。
深夜の林道で、ルチアーノは飛び出してきた何かを轢いた。
ポンティアックのハンドルから伝わった衝撃は大きく、左前輪がガクンと乗り上げたのは大型の動物か。
と思いたかったが、ヘッドライトに照らし出された茂る草の前、目の端に躍り出たものは、
たしかに人の形をしていた。
『面倒なことになったな』
弾けるアコースティックギターの音をたてるカーステレオを切り、ドアを開けてみた。
白いポンティアックの下、
少女の頭が血を流していた。
『どうせ助からない』
間近で人の死を目にしてきたルチアーノには、少女の負った傷が致命傷であることがすぐに解る。
『もう一度轢く必要はなさそうだ』
下手に生き延び、延々と保証金を払わされるよりは楽で良いと、幸運に感謝した。
トク、トク、と、わだちの中に血が広がった。
ヒクと動いた指先に、ルチアーノの中の僅かな情が動かされる。
「早く死ね」
そのほうが楽になる。
白いポンティアックの傍らに細い体をしゃがませる、白いブランドスーツに身を包んだ男の後ろ。
真昼の陽炎のように揺らいだ空気が、少女をブツリと突き刺した。
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