クラフト・ワーカー(ズ)
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「ッ!?」
人体を押しつぶすような抵抗もなく瓦礫に突っ込んだ男は、体を起こして辺りを見回した。
頭から貸衣装にいたるまで砂埃にまみれ、自分ひとりが路地に取り残されている。
「は、ははは」
バイクから漏れ出したヌルつく古いオイルが、白い手袋と商人の服の袖にベトリと付いている。
「
脱ぎ捨てた手袋をガラクタの向こうへ放り投げ、バイクのシートに頬杖をつく。
ガラクタの向こうに人影はなく、白い日光の落ちてくる真上には細いワイヤーの一本も垂れ下がってはいない。
チョロリ、
瓦礫の隙間に太ったドブネズミが顔を出し、ニョロリと長い尻尾が目の前を通り過ぎた。
兄弟でチョコレートを取り合いながら観た、猫がネズミを追いかけるアニメーションを思い出した。
ネズミを追いかけて追いかけて、いつもイッパイ喰わされる猫を笑い飛ばした自分を悔いた。
「ちくしょー」
手まで染みていた黒いオイルは、彼が気付かないうちに髪にも顔にもついている。
小さな子供がチョコレートのついた手で顔中を触ってしまったような、そんなふうだった。
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