『3104丁目、温泉』
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「それよりプロシュート、ホテル!回転ベッドの実物、見てみたいったら!」
「「「ブゥッ!!!」」」
プロシュートに茶を付き出したナナシの爆弾発言に、どうぶつの林プレイ中のふたりとギアッチョが思い切り吹き出した。
メローネはリゾットの膝の上に頭をゴロンと乗せて寝転がり、ニコニコとナナシを見上げる。
「回転ベッドは腰使わなくていいって、あれ本当かなぁ」
今度は腰を上下にクイクイと動かす。
上に裸の女をまたがらせている時の動きだ。
「そう!それの立証に!」
ナナシがぴしりと人差し指をたてた。
「何件回ってみても、回転ベッドが見つからないのよ。ねぇ」
「「「ゴフゥ!!!!」」」
ギアッチョの顔がストーブの芯ほど赤くなり、ホルマジオとペッシはゲーム機に頭を打ち付けて、どうぶつの林はついにエラーを起こした。
「テンプラー(※老舗のファッションホテル。俗にラブホテル)にもティファニャー(※同左)にも行ったのに」
「回転ベッドはドゥフご、フゴ、フゴ……」
プロシュートに肩を組まれたリゾットが、急激な老化を見せた。
クシャクシャとシワの寄った口は上手く回らない。
『……それ以上は喋るなよ?オメーもおんなじ口実で連れ込めンだろうが』
肝心なところをやり過ごさせたプロシュートが、リゾットに暗い取引を持ちかける。
老化の件を特に恨むでもなく、リゾットは鼻でせせら笑った。
『俺はちゃんと持ちネタがあるが知りたいか?』
『教えろよ』
『だが断る』
顔を付け合ってボソボソ話し合うアダルト組ふたりを、どうぶつの林のエラーから顔を上げホルマジオとペッシが訝しげに見やる。
ナナシは別段気にもせず、空になっていたリゾットの湯のみに新たにお茶を注いだ。
「ホテルっていえば、リーダーって方向オンチですよねぇ。道間違えて、どん詰まりのホテルに入るハメになるんだから」
「「「それわざとゥオォオォオ!!??」」」
ホルマジオとペッシとギアッチョのツッコミはシンクロしたが、三人とも一斉にザラザラと錠剤を吐き出した。
やや大ぶりの丸く平たい錠剤の表面に、『S 301』と刻印されている。フェロミア錠。抗貧血薬の鉄剤だ。
口止めのために針だのカミソリだのと痛そうなブツを吐かせなかったのは、リゾットなりの優しさ(?)だろう。
畳に転がった一錠を取り上げ、リゾットは膝の上のメローネに付き出した。
「メローネ、貧血気味だと言っていただろう。飲んでおけ」
「やだよ、汚い」
ぎゃあぎゃあと騒がしい中に、すっかり冷めてしまっただろうお茶を啜る音がズズズっと響いた。
こちらのやり取りをじっと聞きつつ、恨みがましい視線を送る者がひとり。
「……あ、」
「余計なお世話だ。……こっち見んな」
温泉の50パーセント、公営プール、健康ランドに入店出来ないイルーゾォに、落胆と憐れみの視線が集中する。
イルーゾォはヒートテックの袖をぐいと引っ張り、手首から覗いていた美しく波打つ墨色のグラデーションを隠してしまった。
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