『3104丁目、クイズ』
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ッてェ!!」
ゆるく結わえた髪を掴まれて一部の頭皮がグンと引っ張られ、イルーゾォは後頭部を押さえて顎を上向かせた。
銀縁の眼鏡をかけたリゾットが、分厚いクリームイエローの立法全書を携えて立っている。
「女は刑法235条に基づいた窃盗罪および243条窃盗未遂罪で十年以下の懲役、または五十万円以下の罰金刑」
「殴った店員は刑法208条『他人の身体の安全』を脅かしたとして二年以下の懲役、三十万円以下の罰金、拘留、科料刑に処される」
「店員は子供の死亡原因の間接的要因でしかない。憲法第25条の生存権『すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』に基づいて、生活の安定しない者に社会的保護を怠った市の体制にもメスが入るだろうな」
淡々と述べ連ねたリゾットに、不満げなペッシが口を挟んだ。
「でも子供が生きていたら、何人も」
「歴史に『もしも』は無い。そして未来を裁く法律もない。納得いったら昼メシの支度手伝え」
真夏の匂いの風が部屋に舞い込み、リ、と一度だけ風鈴を鳴らした。
THEE END