『3104丁目・VS』
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───ピィイン、ポォウゥ……ン。
ザワッ。
前回の出来事がこのチャイムの音で脳裏に蘇る。
しかし、この歪んだ国の中でも群を抜いてねじくれ曲がり腐っているここの住人をどうにかしてやらねばと、僕は拳を握りしめた。
「はい」
ガララッと開いた扉の向こうに、線の細い長髪の男が立っていた。
顔は青白く、なにか火薬のような……そのままの意味でつまりは、『キナ臭い』。
武闘派には見えない。もしヤクザと関係しているなら、ピストルや火炎ビ……
……物騒な想像はやめよう。
「何か?」
男は面倒そうに、そして訝しげに僕を見た。
でも、こういう反応には馴れている。
「僕は『皆が幸福に暮らせる新しい世界』を」
「アンタさ、」
男はフレームのないメガネを外して胸ポケットにしまいながら、僕の話を遮った。
「仏教、知ってるよな?」
「は、い?」
「有名なところで聖書は読んだんだろうな?ヒンドゥー、イスラム教についてどう思う?シク教への発展とバハーイー教、ユダヤ教の関連と相違点についてどう考えている?」
後半、外語を聞いているような気分になった。
もちろん、僕はそんな沢山の宗教を知らない。
「あの、イスラム教とか、僕にはよく解らないですが…」
男は、がっくりとうなだれた。
「知らない、だと?」
怖い。
質問内容も相当だったが、さっきとは明らかに雰囲気が違う。
「はい、すみません……」
「他の宗教の教えも知らないで、なんで『これこそが正解、正しい教えだ』って断言できるんだ?だれかが『これが正しい』っつったから鵜呑みにしたのか?」
「……」
「よっぽどアタマ弱いんだな。かわいそうに」
哀れまれた。
ぐうの音も出ない僕の前で、ガラガラと戸が閉まった。
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