『デパァト』
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ガタガタガタと喧しい足音が、館内のBGMより大きな音で最上階のフロアに響いた。
三人がはっと顔を上げる。
「兄貴!!」
若い男の声が響いた。
キミエが声のした方を見ると、体格のよいパイナップル頭の男が入り口で仁王立ちになり、三人のいる席を指さしている。
「見ィイツケタァアァア!」
パイナップル頭の大きな声と、三人が立ち上がるのはほぼ同時だった。
「ヤバ!」「逃げるぞ」「巻き込むなっつってんだろ!」
口々に叫びながら駆け出し、マダム達が座る席を踏み抜いた。
「「「キャアァア!」」」
当然、悲鳴が上がった。
食べかけのぜんざいやサンデーが蹴り上げられ、イミティションの植え込みをハードルの要領で飛び越える。
「こんな所にいやがったのか!」
今度は坊主頭の不良が駆け付けたが、スカートの裾もスーツの裾もグリーンの向こうへと消えた後だった。
「クッソ!どこに行きやがった、焼肉ども!」
くるくるとした髪の眼鏡男がゼイゼイと息を切らしている。
エスカレーターを駆け上がってきたのだろうか。
キミエは、三人の後ろ姿がある方向へと向かったのを見ていた。
「オイおばさん、どっち行った?」
柱の影になって行く先が見えなかったらしいパイナップル頭が、鼻息荒くまくし立てる。
「え、エレベーターの方へ、」
「クッソォ~!時間が無ぇ!」
キミエがオドオドと答えると、パーマの眼鏡がダンと足を踏み鳴らして悔しがった。
「しょおがねぇ!階段のが早そうだ。ソルベとジェラートが五階と六階にいるからペッシは四階、ギアッチョは三階、俺は二階へいく」
「「D'accordo!」」
てきぱきと指示を出した坊主頭に従って、メガネとパイナップルがぱんと駆け出す。
姿が見えなくなった頃、
三人がカルチャースクールの扉の影から姿を表した。
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