『日本支部、新年会』
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無骨な手がうなじから背中を伝い、帯の下に丸く収まっている尻に回されそうになった時。
ナナシとディアボロの間にリゾットが割り込んだ。
カウンターに額をつけたままの
ナナシを、紋付きの袖の後ろにさり気なく隠す。
「飲みすぎだ
ナナシ。すいません、部下が世話になりました」
言葉だけは丁寧に、しかし口調は『喧嘩上等』というようなもの。そしてうやうやしく、頭を下げた。
「気にするな、世話をするのはこれからだ」
ディアボロもその程度で引くつもりはない。
頭を下げたまま、しかし鋭く睨み続けるリゾットの額にビアマティーニを突きつけた。
「テメェにゃコレくれてやるから大人しく帰れ」
コリンズグラスにびっしょりとついた水滴が額から鼻先へ伝う。
『ドッグスノーズ』の別名を持つカクテルを一気に飲み干し、唇をぐいと拭うのをディアボロがじっと眺めた。
「あんまり嗅ぎ回ってると、その優秀な鼻をツブさなくちゃあならなくなる。飼い主としては心苦しい」
「せいぜいその『飼い犬』に手を噛まれないよう気をつけてくださいよ、クミチョウサン」
グラスをカンと乱暴にカウンターへ置くと、中の氷がガラリと音を立てて崩れる。
カクテルに製氷機の氷なんか使っている時点で店の程度は知れるものだとリゾットがそちらを見た。
「オラ、立て!」
プロシュートが
ナナシの両脇を抱えて椅子から引きずりおろす。
「おいプロシュート、誰が連れ帰っていいと言った?」
「そういうのをパワハラっつーんですよ?オラ、自分でちゃんと歩け」
カクテルのアルコール度数は意外に高い。
大して強くもない
ナナシを立てないほど酔わせていたディアボロに怒りを覚えていたのは、リゾットとプロシュートだけではなかった。
「ク、ミ、チョ」
ついつい、と引かれた腕の方を振り返ると、ディアボロの隣には。
ドロンジョ様が、いた。
少々短め、しかもアシンメトリーカットのブロンドがマスクからはみ出している。
「パワハラ・アルハラ・セクハラの悪い子チャンには、ドクロベェ様に代わってアタシたちがオシオキし、ちゃ、う☆」
『メローネェエ!?』
恐れを知らない変態は、これまた完全に酔っ払ってディアボロの腕をがっちり掴んでいた。
椅子の下に、西陣織の着物が脱ぎ捨てられ、
「さぁアンタたちっ!殺(ヤ)っておしまい!」
陶酔しきっている。
「「アラホラサッサー!」」
小千谷縮が宙に巻い、そこに現れたのはトンズラーのソルベとボヤッキーのジェラート。
『ソルジェラー!!』
アルコールに強いホルマジオも、
ナナシのカクテルを奪い取って飲んでいたせいで声すら出ない。
安定の悪い椅子から転がり落ちながら、どこかにいるかも知れない助けを求める。
さっきまで入り口付近で延々と『身体検査』を受け続けていたイルーゾォ……
……が、居ない。
ホルマジオは考えるのをやめた。
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