『日本支部、新年会』
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『やべぇ、完全ロックオンされてんのにコイツ酔っぱらいやがった』
ディアボロとホルマジオに挟まれ、うなじと頬を桜色に染めた
ナナシはそこはかとなく色っぽい。
ホルマジオはゴクリと生唾を飲み込んだが、ディアボロの視線に脂汗を垂らす。
「クミチョウ、次……」
「ンッンー、じゃあキスミークイック。意味解るか?」
「わかります!早く、キスして」
(やるとオモッター!)
いい加減使い倒された古典ネタにウンザリしたが、ホルマジオはディアボロに気付かれないように、そーっと
ナナシを自分の方へとよせる。
いつの間にかディアボロの隣に陣取ったメローネが、たくましい腕に振袖の腕を絡めた。
「じゃあオレはキスオブファイア(炎のキス)」
(荷担すんなメローネェエ!!)
届かないとは知りつつ、ホルマジオは心の中で精一杯叫び声をあげた。
「ボウズ、テメェは?」
「ジンリッキー、で」
あからさまに『ついで』だったが、ホルマジオは小さな声で答えるしかない。
「キスミークイック、キスオブファイア、プッシーキャットとクイックセックス持って来い」
(オレのジンリッキーどこ行ったんだよ)
後半に聞こえたエロいカクテルの名前に、カリカリとくるみをかじる小娘の危機を感じてまた少し引き寄せた。
よく見ればメローネは、ディアボロが一定以上の
ナナシに接近するのを阻止している。
(何だ、やるじゃあねぇか)
指に付いた塩粒をペロペロ舐める
ナナシの手をお絞りでふきながら、ホルマジオはちらりとメローネを見た。
糸のように細められた目がキラリと輝く。
「ところで組長、三十五ってディ・モールトいい年齢ですよね……男盛りって感じで」
(オメーは組長にロックオンかー!!)
基本的に自分の事しか考えていない変態の本性を再確認し、ホルマジオは教育テレビの人形劇ばりに口をカクカクと開閉していた。
そして、今は少しだけ感謝した。
ディアボロはメローネの尻を触りながら、運ばれてきたグラスを一気にあおる。
つられるように、
ナナシも早々とグラスを空けた。
「ブランデーベースって出来ますか?ビトゥウィーンザシーツが飲みたいです」
フフンと笑ったディアボロがメローネを振りほどき、
ナナシをホルマジオから奪い取る。
「なら俺はウイスキーベースで。今日は『ハンター』だ」
(オメーいつも狩人じゃねーか!)
ホルマジオはいっそ八時丁度のあづさ二号で旅に出たくなった。いや、
ナナシを置いていくのは心苦しいので、もちろん連れて行くつもりで。
運ばれてきた酒を、雰囲気も何もなくディアボロがまた空けた。
「ちょっと、眠い か も」
「もう少し付き合え。最後はピンクプッシー(アーン!)、ホールインワン(オーウ!)、オーガズム(ワーオ!)でどうだ?」
(容赦無ぇえぇえ!!)
「シャワー、ベッド、イルーゾォかプロシュートが欲しいです」
(天然ー!)
ブルブル震えるホルマジオをよそに、
ナナシはコテンと頭をカウンターに預けた。
はらりと乱れた髪が艶めかしい首筋に、ディアボロが指を差し入れる。
「何のために髪延ばしたと思ってんだ?ン?長い髪の男が好きなんだろ?」
(対抗意識だったのかよそのロン毛ー!)
お客様の中に人権保護団体の方はいらっしゃいませんか?弁護士でも、臨床心理士でも結構です。いや、もう、資格とかどうでもいいので、とにかく誰か助けてください。
ホルマジオの胃は、甘い酒に焼かれた訳でもないのにギリリギリギリと痛んだ。
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