『日本支部、新年会』
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「陰謀だ」
「何を今更」
年賀状よりもクリスマスカードよりも早く届き、ポストの中を禍々しい空気で充満させた組長様の招待状。消印は無い。
「意味わかんね!何スかこの三択!!」
ペッシの手の中には日時と会場など、事務的事項とともに『ドレスコードは着物もしくは裸エプロンかバニーコス』と記された二つ折りの和紙。
目の前で真っ赤なハイレグボンテージのジッパーを上げ、後ろにラインの入った網タイツをウキウキとガーターで留める……メローネ。
「風邪ひくから着物にしろ」
「えー」
愛する旦那様に必死にアピールしているのに、至極真っ当で淡白なツッコミを入れられた新妻。的なドラマが、新年早々、築六十二年木造二階建ての茶の間で繰り広げられていた。
「ジェラートがメイドコス用のエプロン貸してくれたよー」
メローネのバニーコスチュームのウサギ耳を頭の上でヒヨヒヨさせながら
ナナシが二階からドタドタと駆け下りる。
ヒラヒラのフリルとレースをふんだんにあしらった、可愛らしいエプロンをプロシュートの目の前に掲げた。
「そんな格好で外に出せるか!」
「そうだな」
ガッシリと肩を掴んで前から必要以上に密着するプロシュート、後ろからはこれまた必要以上に密着したリゾットが、
ナナシの柔らかな髪をそっとすいた。
「耳が見えてンだろ」
「ケモノ耳をつける時は自分の耳が見えないようにしろ」
「違ァーう!」
リゾットとプロシュートの下らないこだわりに、ペッシがきれいに突っ込んだ。
「エプロンはプロシュートにだよ?」
「せいぜい側近連中に気をつけろよー」
新年会の日程を知った時点で絶対に行かないと心に誓い、夜間バイトのシフトを夕方から朝までミッチリ組み込んできたギアッチョが我関せずとコタツから言った。
「その前にハッテン場で誘拐されそうだな」
ノンケでも平気で食っちまうメローネがコタツ板に腰を下ろし、ボンテージのフロントジッパーをジジジと下ろしながら「やらないか」の顔になる。
「コタツに座るな。行儀悪い」
「ア゙ーッ!」
うっすらと笑顔のメローネは釘を吐き出しながらもさり気なくギアッチョの方へと倒れ込む。
「何とか不参加にもっていけないか?」
コタツに入っているにも関わらず、真っ青な顔でガチガチと歯の根も噛み合わないイルーゾォがリゾットに懇願の視線を送る。
「お前と
ナナシの不参加は、空からヤドクガエルが降ったとしても認められん。どれでもいいから早く着替えろ」
プロシュートはフリルの揺れるエプロンを掴み取り、血にまみれたメローネを引っ張り起こして
ナナシの部屋へと追いやった。
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