『3104丁目、日常』
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「オメーら人の部屋で何してやがんだ?」
「お帰りプロシュート!!」
パンと元の大きさに戻ったナナシが荷物の上でアヒル座りをしている。
地厚だが短いスカートから、まるで計算しているかのような、見えそうで見えなさ加減で膝が開かれていた。
「って、ア゙ー!俺のひより!!」
土佐周りの書店サイン会で手入した人気『 』女優の直筆メッセージ入りポスターが無残な変貌を遂げた事にプロシュートはいち早く気が付く。
「テメェかナナシ」
プロシュートは形よいキリリとした眉をよせ、怒りの形に歪ませた顔をナナシへと向けた。
「ううん、ホルマジオ」
「ホルマジオォ」
ナナシが手に持ったままの千切れた紙には目もくれず、鬼の形相のプロシュートはホルマジオを振り返る。
ようは、怒りの向く先さえあればどちらがどうだっていいらしく、プロシュートは結局ナナシに甘い。
「殺す。老化させて殺す」
「プロシュート、死んだ。多分もうホルマジオ死んだ」
ナナシの絶妙なタイミングによって、三途の川の先に曾祖母を見たホルマジオが部屋の外へと捨てられる。
投げ出されてからも、オシャレ坊主頭の老人はまさに死んだように気を失っていた。
「で?その馬鹿デケェ包みは何のつもりだ」
「遅くなったクリスマスプレゼント」
「トシ跨いでんじゃあねぇか。縫いぐるみなんかだったら叩き出すぜ?」
「ヌイグルミなんかじゃあないよ」
身を屈め、プロシュートはリボンの隙間から白い紙に爪を立ててバリっと引きちぎる。
「布団?」
「布団」
真っ黒なシーツとワッフルになったカバーが上に乗せられ、下には弾力ある厚い敷布団。
「クリスマスプレゼントなんだろーが。ったくよォ、色気無ぇな」
もちろん一見しただけでは、ただの布団。
しかし、通気や生地のさわり心地、中に低反発素材を入れ込む事にまでナナシがこだわりぬき、布団屋にわざわざ打ち直してもらった特注品。
そんな余計な事は言わないが、『何かと世話になっている』プロシュートへトドメの言葉を付け加える。
「色っぽいコトならこの上でいくらでも「色気満点だな」
畳まれた布団の包みに座ったままのナナシの顎を持ち上げ、プロシュートは自分の唇をそこに近づけた。
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