『3104丁目、落日』
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「86番!オレ様の嫁に「させるかクソ親父ィィ!!」
愛娘のワナビーなラッシュを全身に受け、ディアボロの体が後方の金屏風を突き破った。
「いい加減にしなさいよ!だいいち、アンタが再婚したら10コも歳が離れてないナナシがオカーサンなのよ!?」
コクコクコクとナナシが頷いた。さんざ飲まされた安焼酎が頭の中でシャッフルされたが、そんな事はもうどうでも良かった。
『やっぱり次期組長はお嬢しかいない』見守っていた組員全員がそう心の中で呟いた。
振りすぎて回った酔いがナナシの意識をフェードアウトさせる中、リゾットの声が遠くに聞こえた気がした。
『危なかったな。
…………あやうく俺が組長の嫁になるところだった』
───あぁ、リーダー。アンタって人は。
「悪かったな、お嬢」
ギアッチョを担いだリゾットがトリッシュに頭を下げた。
「いいよ。アンタがママってのもどうかと思うし」
「全くだな」
ナナシをおぶったホルマジオがヒャハハと笑った。
意識を取り戻した後、何事かブツブツと呟き続けているイルーゾォをプロシュートがなだめる。
ナナシのバックから落ちそうになっていたケータイがピリピリと着信を知らせた。
『ソルベもしくはジェラート』
適当すぎるアドレス登録に呆れながらプロシュートが出ると、そのどちらでもなくメローネが喋りだした。
「プロント」
『ナナシーハラ減ったよぉ』
「ナナシは死んでる。イルーゾォに代わるぜ?」
ケータイを手渡されたことでイルーゾォは少しだけ現実に引き戻される。
『イルーゾォ!!アタシ達お腹ペコペコちゃんよ!』
向こうもソルベに代わったらしい。
「冷凍庫のレトルトグラタンでも解凍して食えって言っておいただろ」
『冷凍庫なんてフォルダ無かったわよ!ちゃんと共有フォルダに突っ込んどいてくれた?』
締め切り前特有のテンパり方をしているデジタル組に、イルーゾォは「またか」と額に手を当てた。
『アタシのPCいろいろ突っ込みすぎて今zip解凍出来ないって言ったわよね?てか、ちっこいデータいちいち圧縮しないで頂戴ッ!ね、聞いてる!?』
「聞いてるよ。冷凍庫は台所、冷蔵庫の上の段だろ?これから戻るからもう少し我慢しとけ」
『キー!アンタこの後に及んで放置プ
ピ。
「帰ろうぜ」
地味にHPを削られたイルーゾォがプロシュートにケータイを渡した。
「何ィィ!(帝)王様ゲームだとッ!?なぜパードレを呼ばなかったのだ!帝王はこのD「黙れクソ親父ッ!」せめて二次会のカラオ「無駄ァアァア!」
迎えに来た過保護な父親をブチのめす若い構成員の声がこだます、年の瀬の薄汚い風俗店街。
───来年は、来年こそは良い年になれ。
リゾットはそう願いながら、ネオン瞬く寒空を見上げて白い息を吐いた。
雪がちらりと、また舞い始めた。
Arrivedelci2008!!