『3104丁目、落日』
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「さぁあぁああ貴様らお楽しみの時間だァー!拍手しろォー!!」
「ッ!始まった!」
幹部と側近連中を除く全員が凍りついた。
悪魔の宴はこれからが本番なのだ。ナナシと、イルーゾォにとっての受難も。
「皆さんが楽しみにされていました今回のゲームは、スタンダードに(帝)王様ゲームです」
ティッツァーノの説明に入った嫌な前置詞に皆が震え上がる。
「拒否権は無ェ。全員座布団の裏から紙を剥がして番号を確認しろ!」
スクアーロが声を張る。これで『棒を取り忘れました』『足りませんでした』などと言い訳する事が出来なくなった。
膳に番号が付けてある時点で完全な仕込みだが、スクアーロの言うとおり『拒否権はない』。
ナナシとイルーゾォの座るはずだった座布団から剥がされた紙をセッコがくわえて持ってくる。
「さぁ始めるぞ貴様ら声あげろよォー?せーのッ」
「「「(帝)王様だーれだ……」」」
「オレが帝王だァ───!!!」
料理が乗ったままの善を真っ二つに踏み潰して立ち上がったディアボロが親指を自分の胸に突きつけた。
『やっぱり』
幹部連と親衛隊の白々しい拍手の音が鳴り、他の全員が暗い顔で下を向いていた。
「5番と607番!ポッキーゲームやれ!!」
幼さを残す黒髪の少年が青い顔で手を挙げ、紙を掲げている巨体の前に進み出た。
畳二枚分のスペースを一人で占領している幹部、ポルポの前には『清酒 美少年』。
嫌われ者のデブ幹部は、どうやら両刀だったらしい。
ポルポのくわえたポッキーの反対を、ナランチャがおずおずとくわえる。
サク、サクサク「ウワぁあアァん!」
ナランチャが泣きながらポッキーをへし折り顔を離すと、一目散に仲間の元へと駆けていく。
残りのポッキーをサクサクと食べたポルポが至極残念そうだ。
「次ィ!」
殆ど興味なさげに見ていたディアボロが叫ぶ。それをきっかけに、また全員がボソボソと声を合わせた。
「「「……(帝)王様だーれだ……」」」
「つーねーに俺様だ!!608番609番がラップごしにキッス!」
どこからか取り出したラップをビイッと引っ張り出して広げる。
『"キッス"とか言っちゃってるぜ組長ー!』
ウヘァと顔をしかめたホルマジオは、自分の紙が番号にかすりもしなかったことにホッと胸をなで下ろした。
長い銀髪の長身……アバッキオに腕を掴まれ、白いスーツのボブカット……ブチャラティが真っ赤な顔で進み出る。
「ちょ!アバ……」
ブチャラティに抵抗する間も与えず、アバッキオは皆の前でがっつりと唇を合わせ舌を絡めた。
長い。
しかも深い。
「ンぁ……!」
「ラップこしっつッただろゴルァア!!」
ブチャラティの腰が砕けかけた時、恐ろしい威力で銀髪の後ろ頭にスコーンとサロンラップがヒットする。
当たりどころが悪かったらしくバッタリと畳に沈んだアバッキオの両足を掴み、同じチームのミスタが「サーセン、どーも、サーセーン」と頭を下げながらズルズルと引きずって席に戻った。
痺れを切らしたスクアーロが、ディアボロの背中をツンツンとつつく。
「チッ!小遣いがわりに先にくれてやるか。次だ次ィ!」
「「「(帝)王様だーれだ?」」」
「いーつーもオレ様だァー!!」
パラパラと乾いた拍手があがる。
「スクアーロとティッツァーノ!85番の乳揉め。揉みしだけ!」
「…………オレ、だ、けど」
真っ青な顔で手を挙げたのは。
ギアッチョだった。
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