その年のクリスマスの朝。ある女の子のベッドの枠に下げられた古い靴下には、サンタクロースからのプレゼントが届いていた。くすんだ赤の地に金色のツリーが箔押しされたクリスマスカードと、それから……！
　朝になってお菓子でも詰めておけばいいと思っていた女の子の母親は、身に覚えがないそれらにはしゃぐ女の子を見て、その手に持っている物を見て心底驚いた。僅かの貴重品も安物のアクセサリーにも手がつけられておらず、物盗りが入ったとは思われない。今日はクリスマスの朝。不信感はぬぐいきれなかったが、奇跡があったのかもしれない、と好意的に受け取ることにした。
　きちんと揃えられた自分のミュールの上に、これみよがしに置かれた『淑女のマナー』という嫌味なタイトルの本を見るまでは。




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