捨てて。迷うくらいなら
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「これは諦めたら?きっと見つからない」
ナナシは、つま先にわた埃をくっつけた片方だけの靴下をつまみ上げた。
「そうだなぁ、でも、もう片方があるはずだ。どこか、そのあたりに。たぶん、絶対」
ホルマジオが読み古しの雑誌を一冊一冊検閲し、端に置く作業から顔をあげる。「捨てる」の宣託を与えられた不幸な雑誌は、今のこところ一冊もない。ゴミの山を右から左へ、ただ積み直している状態だ。
「ンもう!ほら、また紙クズ。メモ?……読めないわ、なんて書いたの?」
「ウーン、何を書いたんだったかな。まぁ、取ってあるってことは必要なヤツだ、無くすとリーダーにドヤされるような」
本人でさえ判読不能な文字が連なる紙っきれを、またも大事に取っておくつもりなのだ。見た目にもスッキリとしたその坊主頭、中身のほうはちっともスッキリさせられない。
読みもしない本、履けもしない片方だけの靴下、ビンのふた、意味不明なメモ、一夜限りの女の子の連絡先……。
どれもこれも、無くなったって解りやしないだろうガラクタばかりだ。一週間もしたら、ふとしたら今晩にも、その存在すら忘れてしまっているくせに。昨晩使ったグラスの中に今もある、双子の片割れだけを 食べ残された赤 いチェリーみたいに。
ホルマジオがあちらを向いている間に、ナナシは手の中のものをこっそり、ゴミの袋へと突っ込んだ。無くなったものなど、どうせ「しょうがない」で片付けてしまうのだから。
『捨てて。迷うくらいなら』
断捨離まじ大事。
ナナシは、つま先にわた埃をくっつけた片方だけの靴下をつまみ上げた。
「そうだなぁ、でも、もう片方があるはずだ。どこか、そのあたりに。たぶん、絶対」
ホルマジオが読み古しの雑誌を一冊一冊検閲し、端に置く作業から顔をあげる。「捨てる」の宣託を与えられた不幸な雑誌は、今のこところ一冊もない。ゴミの山を右から左へ、ただ積み直している状態だ。
「ンもう!ほら、また紙クズ。メモ?……読めないわ、なんて書いたの?」
「ウーン、何を書いたんだったかな。まぁ、取ってあるってことは必要なヤツだ、無くすとリーダーにドヤされるような」
本人でさえ判読不能な文字が連なる紙っきれを、またも大事に取っておくつもりなのだ。見た目にもスッキリとしたその坊主頭、中身のほうはちっともスッキリさせられない。
読みもしない本、履けもしない片方だけの靴下、ビンのふた、意味不明なメモ、一夜限りの女の子の連絡先……。
どれもこれも、無くなったって解りやしないだろうガラクタばかりだ。一週間もしたら、ふとしたら今晩にも、その存在すら忘れてしまっているくせに。昨晩使ったグラスの中に今もある、双子の片割れだけを 食べ残された赤 いチェリーみたいに。
ホルマジオがあちらを向いている間に、ナナシは手の中のものをこっそり、ゴミの袋へと突っ込んだ。無くなったものなど、どうせ「しょうがない」で片付けてしまうのだから。
『捨てて。迷うくらいなら』
断捨離まじ大事。