聞かせて。君の言葉で
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「まだですか?」
「あぁ、最後まで。コレが欲しいんだろう?」
「欲しい……です。ください」
「欲望のままだな。なら、続きを」
ナナシははぁっと息をつき、瞳を伏せた。
『ソリッド』と椅子を並べたナナシは、気を取り直してまた本へと視線を移す。開かれているのは、日本の大人気漫画『ピンク・ダークの少年』の最新刊。イタリア語翻訳版がまだ発売されていない、日本でつい先日発売されたばかりの、日本語版だった。
ナナシは日本語が読める。特別に日本語の勉強をしたわけではなく、奇妙なことに日本人旅行者とぶつかった日から突然、完全に理解できるようになった。
たまたまそれを知ることとなった『ソリッド』は、『お気に入り』が日本で発売されるたび、イタリア語版の発売を待ちきれずに日本語版を入手してナナシに読み上げさせる。
漫画の台詞を自分の口に出して読み上げるのは、なかなかに恥ずかしい……が。
───店の商品の中から、どれでも気に入ったヤツを一冊持って行っていい。
この、なんとも魅力的なエサに釣られて、ナナシはまたも朗読会を開くはめになる。
「「あぁん、変なトコロを触らないでッ!」
……はぁ」
「続き」
左手に持ったナナシの物になる一冊を振って見せ、『ソリッド』は片手で器用にページをまくった。
『聞かせて。君の言葉で』
漫画の音読ほど、辛いものはない!
「あぁ、最後まで。コレが欲しいんだろう?」
「欲しい……です。ください」
「欲望のままだな。なら、続きを」
ナナシははぁっと息をつき、瞳を伏せた。
『ソリッド』と椅子を並べたナナシは、気を取り直してまた本へと視線を移す。開かれているのは、日本の大人気漫画『ピンク・ダークの少年』の最新刊。イタリア語翻訳版がまだ発売されていない、日本でつい先日発売されたばかりの、日本語版だった。
ナナシは日本語が読める。特別に日本語の勉強をしたわけではなく、奇妙なことに日本人旅行者とぶつかった日から突然、完全に理解できるようになった。
たまたまそれを知ることとなった『ソリッド』は、『お気に入り』が日本で発売されるたび、イタリア語版の発売を待ちきれずに日本語版を入手してナナシに読み上げさせる。
漫画の台詞を自分の口に出して読み上げるのは、なかなかに恥ずかしい……が。
───店の商品の中から、どれでも気に入ったヤツを一冊持って行っていい。
この、なんとも魅力的なエサに釣られて、ナナシはまたも朗読会を開くはめになる。
「「あぁん、変なトコロを触らないでッ!」
……はぁ」
「続き」
左手に持ったナナシの物になる一冊を振って見せ、『ソリッド』は片手で器用にページをまくった。
『聞かせて。君の言葉で』
漫画の音読ほど、辛いものはない!