淡黄色
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朝に近い空が灰色に明るくなり始める頃。
……だと気がついたのは、上に乗っていたプロシュートが絡み合っていた足に力を込め、上半身を起こしたせいだった。汗ばみ、密着していた裸の胸が外気に触れてヒヤリとする。極端に早まり、そしてゆっくりと静まっていった心音が、熱を交わし合っていた皮膚が遠ざかる。
寒さと羞恥にブランケットをたぐり寄せるその手をプロシュートがさらい、口唇をつける。
愛しているとでも言い出しそうな寒気のするくちづけは、鼻先どうしを触れさせる近い距離へ迫る。ほどけた髪が、視界に一瞬、薄い金色のベールをかけた。
目が眩むような日が差すまでには、まだ遠い時間。夜の間じゅう固く蕾を閉じていた窓辺のマリーゴールドは気が急いたのか、太陽の気配を感じたのか、もう花びらを解き始めている。
たっぷりと筆に染み込ませたイエローを緑の中に無造作に叩いたような、頑なな橙色たちが目を覚ます。
また、さらりと金色の雨が顔の脇に降った。
自分の下に組み敷いた女が気もそぞろに外を眺めている様子が、それほど気に触ったのか。
甘やかな罰。
緑の中に点点と咲く黄色が、淡く滲んだ。
―――イザベッラ 淡黄色