magic
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「ペッシはタネを解っていたのね」
「密室殺人探偵小説で、必ず出てくるオチだからなァ」
ポワロも鍵穴から部屋へと『Myself(私)』が侵入するのをやっていたし、と苦笑い。
人数分運ばれてきたスープには、煮込まれた野菜と色々な形のマカロニがたっぷりと入り、熱い湯気を立たせていた。
外が白んできた。
闇の空は、いつのまにか紫がかったグレーの雲を幾重にも重ね、朝の光を満たし始めている。
朝方の冷たい空気の中で味わうお手製のスープが、夜遊びですっかり空になった腹を満たしていく。
「ペッシは何もしなかったわね」
「いや、ほとんど何にもない冷蔵庫の余りモンでこれだけ旨いモンが作れれば、じゅうぶん芸だ」
イルーゾォはスープの味を素直に賛美した。
少しずつ残ってしまっていたショートパスタが、各々自分勝手な形に体をひねくってスープに沈んでいる。
溶けたじゃがいもが一番熱い。
「それより、イルーゾォの電気椅子の仕掛けがわかりやせん」
ズゥ、とスープを啜ったままの尖らせたくちびるで、ペッシが渋い顔をした。
椅子の回りをぐるぐる回っていただけで、今座っているダイニング・チェアが電気仕掛けになるものだろうか。
「ーーーあれは私の協力あっての賜物よ」
イルーゾォの顔色をちらと伺っていたナナシは、顎で促されて種を明かした。
「一芝居頼むって言われだけ。電気椅子になったほうが面白いじゃあない」
なぁんだ、サクラになったのかとペッシが笑い、ギアッチョはしてやられたと口をへの字に曲げた。
「やっぱり、そのコイン寄越せ」
「嫌だね。見破れなかったじゃあないか」
温まった体が、今度は眠気を訴えかけてくる。
オリーブオイルの輪っかをつけたスープ皿を食べっぱなしでテーブルに放置し、ギアッチョは靴も脱がずにゴロリとソファへ横になった。
ドアがかちゃりと開く。
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