magic
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「よし。オレが次だ」
ギアッチョが声をあげた。せいぜい面白いものを見せてみろと言わんばかりのイルーゾォが、嫌な笑いでそちらを見る。
「オレがプルタブの穴を通り抜けて見せてやる」
へぇ!とナナシが声を上げた。
「面白そうよ」とペッシを呼んだが、キッチンから顔を出した彼は歯を剥きだして胡散臭げに笑い、首を横に振って引っ込んだ。
ギアッチョはキッチンから常温のセブンアップを一本持ってくる。
満タンの冷蔵庫から追い出されて生ぬるくなったそれを封切って一気に飲み干すと、腹に溜まった炭酸をゲェエエェ、と下品に吐き出した。
「このリングに通るって?ホルマジオじゃああるまいし」
「そんなチンケな能力を使わなくったって、朝飯前だな」
普段意識して見ることのない穴を眺められたプルタブは、イルーゾォからナナシへ、ナナシからギアッチョの元へ帰ってきた。
ギアッチョはプルタブをテーブルに置く。
ソファに放ってあった雑誌の一ページをちぎり取ると、マジックペンをさっと走らせて『Io(俺)』と書く。
「ほらよ、『俺』が通るぜ」
『Io(俺)』と描かれたページが折りたたまれ、プルタブの穴を通過するのを、呆れながらも二人が確かに見届けた。
「……まぁ、奇術の基本はペテンだからな」
ごちゃごちゃと文句を言い出すかと思われたイルーゾォが唯一、乾いた拍手をした。
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