magic
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「次は私がするわ」
「へぇ。頼もしいな」
手を上げたナナシに皆が注目した。
勿体ぶった笑顔で全員と目を合わせてにこりと微笑み、くちびるの前に人差し指を立てて、内緒話をするように小さな声で告げる。
「マジシャンみたいに大きな装置は用意できないけど、密室からの脱出をお見せしようかしら」
ペッシが身を乗り出して、目を輝かせる。もともと、奇術やサーカスの類が好きなクチだ。でも、
「……どこから?」
怪訝な顔でナナシに聞く。
ナナシは自分でそう言った通り、専用の大きな道具などここでは用意できない。
首をかしげるペッシに、ナナシもウゥンと考えた。
「私の私室はダメね、リーダーの部屋も。……仮眠室からの大脱出、でいかが?あそこは窓も無いし、出入口も1つ。外側から鍵もかけられるわ」
「おぅ、丁度いいな」
ギアッチョが立ち上がって、湿っぽい仮眠室のドアを開いた。
誰かが使ったまま、ブランケットが落ちかけたベッド。
奥のシャワー室はカーテンが開いたまま。
ドアを除いて外と繋がっている箇所は、ろくに仕事をしない換気扇がひとつだけ。
五十センチ四方の四角い枠にはまって、ビスでしっかりと固定されている。
「準備はいるか?」
一応、ギアッチョが聞いた。
「そんなもの、要らないわ」
ナナシの答えに、眼鏡の上の片眉が上がる。
「自信満々だなクソ。さっさと入れよ」
ひらひらと手を振って仮眠室へと消えるナナシに、皆が注目した。
.