magic
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「マジックっていえば、耳の穴の中に外耳を全部収納できる中学生がいるって聞いたことがあるわ」
ナナシの言葉に、ホルマジオが「ヒエェ!」と驚きの声を上げ、ギアッチョが「ウエェ」と気味悪そうに呻いた。
早速自分の外耳を折りたたもうとしているホルマジオを横目に、イルーゾォが肩の位置まで手の平をあげる。
「最初はオレだ」
「ヘェ。詰まらなかったらそのコイン寄越せよ?」
「見破れたらやるよ」
ダイニングの椅子を一脚回転させ、座面を皆のいるソファの方へ向ける。
背筋をピシリと伸ばして右手を背もたれにかけ、左手を大きく水平に伸ばしてから胸へあてて恭しく一礼した。
「ここにご用意いたしましたるは、チンピラの巣窟で健気に四ツ足をつく可哀想なダイニング・チェアにございます。勿論、タネや仕掛けをご用意いたしまする時間がございませんでしたので、何の変哲もないただの椅s「いいからさっさと始めろよ」
酒気がぶり返したのか、下品な酒場でなじる要領でギアッチョがくちびるを尖らせた。
イルーゾォは一度しらけた顔を作ったが、すぐに長い髪の奥で鳶色の双眼が細められ、血色の悪い薄いくちびるがニィと釣り上がる。
「では、大奇術にはオーディエンスからのお手伝いを呼ぶのがお約束でございますから……そこの美しいかた、お手伝いをお願いできますか?」
求愛するナイトの姿勢で膝をついたイルーゾォが手を取ると、ナナシは困ったように微笑んで立ち上がった。
「運悪く選ばれてしまいました類まれなる美女のアシスタントを、これより電気椅子に座らせてしまいましょう」
皆が怪訝な顔をした。
「大丈夫、チャーミングなヒップにミミズ腫れを残すような真似はしないさ」
イルーゾォはナナシをダイニング・チェアに座らせ、ウインクしてみせた。
「では、始めましょう」
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