magic
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「あぁ、いい匂い」
犬がそうするように鼻先を上へ向け、わざとらしく空中の匂いを嗅ぎながらメローネがリビングへと入ってきた。
彼は彼で、夜っぴて遊んでいたのだろう。
メローネが全身にまとう酒の匂いが、部屋を横切る。
「やぁ、用意がいいな。俺のぶんもちゃぁんとあるなんて、流石だね」
「用意したのはペッシよ」
頭を撫でようとした手を振り払われたことは気にも止めず、メローネはひとつだけ手を付けられていなかったスープの前に座った。
やや冷めたスープを半分ほど食べたところでフラリと席を立ち、歯磨きもせずに眠りかけていたギアッチョの体を押しのけてソファに尻をねじ込む。
「ただいま、ハニー!俺がいなくって寂しかっただろう?」
「あ、オマエいなかったのか」
「スープまで用意してくれてたくせに」
ちゅっちゅと眼鏡の上から瞼にキスしようとするメローネを、ギアッチョが足でじたばたと蹴る。
「いなくても気が付かねぇっつーんだよクソ変態野郎が!」
……いなくても気が付いてもらえない空腹が、もうひとり。
鍵の閉まった密室に取り残されていた。
thee end
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