magic
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時計の針が本日のシンデレラを家に帰してから約1時間。
ここいらで最も遅くまで開いている店に叩きだされた夜行性の連中は、他に行くところもなく、仕方なしにネグラへと戻ってきた。
アパルト前の通りをまっすぐ歩いてきたホルマジオと、路地を曲がって出てきたイルーゾォが。
さらに反対方向から歩いてきたギアッチョが。
部屋から見下ろせる箱庭のような広場に入ったところでペッシが。
階段を登り切ったところで彼女が鍵を取り出そうと鞄の中を探っているのに出くわし、合流となる。
個々が別行動をとっていても、時々こういう日がある。
そこそこメンツが揃ったアジトは、無用心にも窓が開けられたままになっていた。
日中より冷えた風のせいで部屋全体が肌寒い。
薄手の外套を自室のベッドへ脱ぎ捨てたナナシがさっさとキッチンへ入り、熱い湯気のあがるカップを五つトレイに乗せてくる。
エスプレッソ・マシンで入れたカフェを各々が口に運ぶと、腹の中から体が温まり、酒を飲んでいる者には調度良い酔い覚ましになった。
退屈まぎれにか、イルーゾォが一枚のコインをくるくると指先でいじくっている。
指から指へ、出たり、消えたようにも見える。
以前熱心に練習していたナナシは、にコインを翻弄する器用なイルーゾォの指先に、思わずほうっと見とれた。
「素敵ね。そんなにできたらいいのに」
「簡単さ。これが出来るようになれば、トランプのマジックなんか簡単に見破れるようになるぜ」
イルーゾォがコインを握って見せた手を開くと、握られたはずのコインは既に消えていた。
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