オーフリー
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パチン。
まただ。リゾットは耳障りな音を立てる。
扉から差し込んだ淡い明かりが描き出したシルエットには、見覚えがなかった。
体格から男であることが判別できたが、上半分をラフに結わえ、ウェーブがかった金髪が肩にかかっている。
それがプロシュートだと解ったのは、扉が閉まり、ナナシの鼻先に煙草の煙の臭いが届いてからだった。
乾いた唇から剥がした煙草のフィルターに唾液の糸が引く。
床に捨てる。踏み潰しもしない。
振りぬいたまま手を離してしまった拳銃の重り入りの枕カバーは、ベッドの下へと飛んでいった。ついに丸腰となった、身動きの取れないナナシの前に、プロシュートが立つ。
プロシュートの動向を注意深く探るつもりでいたナナシの顔は、次の瞬間、真横を向いていた。
強い力では無かったが、拳はテンプルに直撃し、大きく頭が弾かれていた。
三半規管が揺さぶられ、ひどく目を回したような目眩に襲われる。
有無を言わせない暴力。次打が来る。
ナナシは振り下ろされる拳に、闇雲に掴みかかる。
起こしていた身体は絶え間なく繰り出される拳に押され、プロシュートにマウント・ポジションを許した。
左右に振られる顔に振り乱れた髪がかかる。その隙間に銀色の眼差しを見る。目があったところで、プロシュートの感情が振れることはなかった。
肉体の苦痛は反抗心を挫く。ギャングが一般人に何か質問をするときに挨拶代わりの一発を見舞うのは、短時間で真実に辿り着く最も有効な手段だからだ。
ナナシはレイプ犯に抵抗する無力な女となんら変わりなく、裂けた服ははだけ、掴んだ腕を振り払われ、無様に頬を打たれる。
息があがる。汗が吹き出す。そして涙が、切れ切れの叫びが漏れ始める。
何度も、何度も、何度も。
降り注ぐ殴打、殴打、殴打。
脳挫傷か脳出血か、男の腕で殴られ続ければあっけなく死ぬだろう。身動きの出来ない女の腕が男の拳を全て防ぐなど、できやしない。プロシュートがナナシを撲殺するための条件は揃っている。
真正面から鼻先を狙った打撃が、まっすぐに落ちる。
ナナシは思わず、両腕で顔を覆った。
瞬間、
顔面を狙ったプロシュートの右の拳が止まり、左の拳が腹の中心に振り下ろされた。
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