アームレスリング
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ホルマジオ!手伝ってよ!」
アジトに戻ると唐突に声をかけられた。
ナナシはアジトのテーブルでペッシと向かい合い、腕をぐるぐる回している。どうやら腕相撲をしていたらしい。
いや、普通に考えて無理だろ。
お前の腕ペッシの3分の1も無ぇじゃあねーか。
「ホルマジオと二人でもいいでしょ?ねぇペッシぃ!」
「何人でも受けて立つっスよ、まぁ負けやせんけどね!」
ナナシやイルーゾォ相手に連勝したであろうペッシは今や完全に図に乗っている。
「おーおー可哀想になぁナナシ。手伝ってやんよ」
普通オレとペッシでタイマンはらせてからその手段に出ないか?とも思ったが。
……まぁオレは、ちょっとした作戦を思いついたわけで。
「そのかわりナナシのキスをかけろよ?」
途端にペッシが真っ赤になる。
負け続きのナナシは少し躊躇ったようだが、「絶対勝てるわよね!?」とオレに念入りに確認し、強力な助っ人と認めたせいか承諾した。
と、ここでオレはペッシの首に腕を回しナナシに背を向け小声で囁く。
『なァ……お前ナナシと何戦した?』
『えっ?え、えっと……五戦くらいッス』
『そォ~……か、そんなに長い間ナナシの手を握りしめていたのか』
赤かった顔がさらに赤くなる。このマンモーニが。
『お前が握りしめていた手はなァ~、いつもナナシが自分の体を隅々まで洗ってる手なんだよ。フトモモも、胸も、アンナ所もな。解るか?』
ペッシは真っ赤な顔をしたまま動揺し始め、だがオレの言葉にコクコクと頷いた。面白ぇ。
『それだけじゃあ無いぜ。ナナシはいつトイレに行った?きっと利き手で拭いたんだろうなァ……?』
いよいよペッシは赤いのを通り越して紫色になりだした。
本当はここで自慰云々とたたみかける予定だったが、その必要はなさそうだ。
「じゃあ始めるかペッシ!手加減すんなよ?ナナシのキスがかかってるんだぜ」
くるりと向き直り言うとナナシは「二人で悪巧みしないでよ!八百長無しだからね!」と不機嫌そうに言った。
「そんなんじゃ無ェよ、なぁペッシ?」
紫色も通り越して浅黒くなったパイナップル頭はまたコクコクと頷いた。
ナナシはすでにテーブルでスタンバっている。
その手をペッシが震えながら握る。
ペッシの野郎、浅黒かった顔がなんか緑色になってきてねぇか?可愛そうに。
二人が組み合った所でナナシの手を後ろから握り込む。
あー、ナナシの手柔らけぇー。汗ばんだペッシの手の感触が無かったら最高なのに。
そんな事を考えながら、ナナシの背中に体を寄せる。
ジャッジのイルーゾォが面白くないというような顔で睨んできたが、無視。
当のナナシはといえば、ただの遊びとは思えないほどの真剣な目をしている。
「レディー……ゴッ!」
イルーゾォの手が離された瞬間、ペッシの手の甲はテーブルに叩き付けられた。
というか、ペッシ自身が床に叩き付けられた。
あ、泡吹いて気絶してる。
「やっ……たぁあ!」
大喜びのナナシは飛び上がってオレに抱きついた。
「グラーッツィエ、ホルマジオ!」
大興奮のナナシに満足しながら、オレはニヤリと笑ってナナシのに両肩をしっかり掴む。
「良いってことよ。何せナナシからキスがもらえるんだからなァ」
ナナシが目を丸くする。やっぱり本当の作戦には気づいてなかったか。
「オレは『ナナシのキスをかけろ』って言ったんだぜ?オレらが勝ったんだから当然オレにキスだろ?」
ナナシは「そんなのズルい!」と言って腕の中で暴れたが勿論逃げ出せるはずは無い。
ジタバタするナナシを押さえつけ「オレは真剣なんだぜ?」と目を合わせると、赤くなって固まってしまった。
少し顔を近づければ、ナナシは覚悟を決めたのかぎゅっと目を閉じる。
可愛いじゃねーか!
そのままゆっくり顔を近づけようとした時、ソファで新聞を広げていたプロシュートが立ち上がった。
オレの右手を握り、腕相撲のような形をとると……
ふわりと世界が反転した。
「痛っ……でぇぇぇぇ!!!えッ?……えッ!?」
オレはプロシュートによって華麗に投げ飛ばされ、受け身をとることもできずに背中から床に落ちた。
イルーゾォが「ジュウジュツ?」とか言ってる横にはナナシに深く口付けているプロシュートがいた。
「おらペッシ!いつまで寝てるつもりだ!?行くぞ」
尖った革靴のつま先でペッシを蹴り飛ばすと、プロシュートはその長い足でさっさと出て行ってしまう。
「まっ!待ってくださいよ兄貴ぃ~!!」
大きな体を起こしたペッシが足をもつれさせながらアジトを出て行くと、呆けたままのオレ達三人が残された。
.
1/1ページ