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相合傘


特に強い雨というわけでもないし 急げばさほど濡れないとも思ったが
君が一人で傘を差す姿が 寂しそうに見えたから 此処にいる

二人が入るには小さいし 君の背は小さいから此方が濡れる
仕方無い その柄を持つことにしよう
決して君の為ではなくて これは僕の為だからな
勘違いするなよ

微笑う横顔が雨の中 妙に爽やかに晴々しくて
傘なんて要らないのでは と一瞬思った自分を恥じる


気のせいか雨も止んできたようだから 隣の君はじっと此方を見てきた
何か用でもあるのか 戸惑いながらも君は 首を振る

二人が入るには小さいし 君に迷惑だったかと僕は悔いる
仕方無い この傘を閉じることにしよう
決して僕の為ではなくて これは君の為だからな
勘違いするなよ

微笑う横顔が太陽の下 妙に悲しげに崩れ始めた
傘が要るのかも知れない と一瞬思った自分が動く


閉じ掛けた傘を もう一度開くと


微笑う横顔が虹を見る 妙に和やかにただ一言が
「有り難う」ただ一言が 一瞬にして自分を満たした

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