日刊短歌 2025年

*1月10日 お題【諦め】

それはそれ、これはこれって 人生を割り切れるほど大人じゃなくて

生きるのが面倒臭くなってから随分経って今日も息吸う

潤沢に貯めてた筈の「可能性」 記憶のレシートすらも残らず

年だけが過ぎて残らぬ日々の跡 今更ながらに己を悔いて

その音が聴こえたならば戦いは始まる 花が舞い落ちるまで

「何もない」だけがあるのと言う君の瞳の奥に闇の花束

宝箱開けてあれこれ抱えても身辺整理で苦しむだけさ

無音にも意味を持たせて歌を編み休符をやたらとクリアに鳴らす

人生に四季が巡るというのなら私の春はいつ来るのだろう

君はまだ僕の心を知らないな 僕の何処にもないものだから

淡々とアナウンサーが読み上げた紙が奏でる人間哀歌

にいちがに、にさんがろくと唱えてたあの日が現在(イマ)に続くだなんて
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