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妖しき月夜


陽が沈めば辺りはたちまち闇の中に融ける
そこで踊るは艶やかさを極めた薔薇
棘を隠し 男を誘い その挙げ句の果てには
吸い上げた血に染まり ひたすら笑う

愚かなる夜には 飴も鞭も綱も 黒き姿を見れば無意味

終わりを知らず再び踊りを始める薔薇
次はどの赤を飲み干そうかと
悩む間も無く罠に掛かる新たな男の影
叫びを聴く度に薔薇は美しくなる

月を見遣る血塗れた美貌
どれだけの味を感じただろう?

満足とは無縁の孤独な薔薇
ただ男共の死をせせら笑い 眠る

闇の中で踊る薔薇は その美しさで
今日もまた喉の渇きを満たす
妖しき月夜


今宵もまた薔薇は踊る ただ赤だけを求めて
そこへ来るは静謐さを宿す狩人
銃を隠し 薔薇を誘い そして爽やかに笑う
誘われた振りをして ひたすら笑う

愚かなる薔薇には白も黒も全て 清らかな暗さには無意味

終わりを知らず何度も踊りを狂える薔薇
早くこの赤を飲み干したいと
思う刹那狩人の罠は着実に近付く
叫ぶ薔薇を聴く狩人は兎を呼ぶ

薔薇を見遣る月からの使者
どれだけの罪を重ねただろう?

満足とは無縁の孤独な薔薇
ただ見下ろす兎をせせら笑い 眠る

闇の中で踊れた薔薇の声が枯れた後も
狩人は獲物を探す
妖しき月夜

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