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魔法少女のテスト明け

 ここは魔法少女養成機関・ガイア。そのなかでも特別クラスに在籍する少女たちは、今まさに怒涛のテスト期間を終えた。一日中ずっと缶詰めだった教室からようやく出て、魔法飛行体発着所へと小走りで向かう少女が二人。
 片方は、落第寸前の見習い魔法少女・ミドリ。制服は他の少女たちと同じデザインだが、見習いである証に三角帽子をかぶっている。もう片方は、学園一の秀才・アカネ。眼鏡をかけ、栗色の長い髪をサイドテールに結っている。少し前を行くミドリを追い掛けながら、アカネは呆れた顔で言う。
「そんなに急ぐ必要があるの?」
 ミドリが返す言葉は決まっている。
「必要があるから急いでるの!」
「その発言は正鵠を穿っているわ」
 アカネはミドリの隣に並んだ。
「でしょ? 頭良くなったんだよ、勉強頑張ったからね」
「頑張ったといえば、ミドリ、赤点は回避できたの?」
「うん、アカネのおかげで! 出るかもって言ってたところ本当に全部出たよ。予言でもしたんじゃないの」
「まさか。魔法大全に載っていた重要箇所を見直して、過去問から今年の傾向を推測し……」
「実質予言じゃん」
 なんて話しているうちに、二人は発着場へ辿り着いた。
 辺りには誰もいない。箒立てを解錠し、愛用の魔法箒・ターコイズG2を手にしたミドリは、しめたと思った。これならきっと、混雑する前にあのお店に入れる!
「さて、行きますかね!」
 その二人用の箒は、ミドリが前にまたがり、アカネが横向きで座るのがいつもの乗り方だ。アカネの離陸準備が整っているかを確認すると、目が合う。
「それで、こんなに急いで、どこへ行くの?」
 彼女は不思議がっていたが、嫌な気分ではなさそうだ。そんなこと十分に知っている。アカネはいつもこうして、ミドリに付き合ってくれるのだ。
「まだ内緒!」
 陽気に返すと前を向き、ミドリは勢いよく地面を蹴った。
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