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頷き

 学校からの帰り道って、友達との雑談の場所になる。
「あのさー、今日の生物退屈じゃなかった?」
「……うん、多分」
 曖昧に頷いてみる。
「だよねー! あの先生、本っ当に板書汚いしさー、言ってることも全然分かんないんだよ」
 本当最悪、と笑うその友達の名は、由美。
 彼女とは去年の暮れくらいから一緒に帰宅している。私から望んだ訳ではない。たまたま同じ道を歩いてたところを、向こうが話し掛けてきた。縁あって、今年度は同じクラスになった。ちょっと不思議な出会い方。
「あ、一番星」
 空を見て、私は呟いた。こういうのって楽しい。星を見てると、何だか癒される。
「ホントだ。UFOとかいないかな?」
 由美も空を見る。
「あ、UFOといえばさ、昨日やってた刑事ドラマのCMで面白いのやってたんだよねー」
 別に、話を続けて欲しかったから言ったのではないし、UFOとかどうでもいい。けど、とりあえず相槌を打っておく。そのうち勝手に、話は終わって、沈黙が訪れるから。
 私から話すことってほとんど無くて、いつも由美から切り出しては話を変えて、一人で盛り上がって終わる。楽しくないっていう訳じゃないし、嫌いとも思わない。けど、何か違和感があって、ぎこちない。
 それが毎日続くから、気のせいか放課後が憂鬱になってきた。
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