本編
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「ナナシッテ、他ノ男ニモコウイウコトシテルノ?」
「こういうこと?」
「肩ニ保タレカカッタリ、膝ヲ枕ニシタリ」
今日の7両目はキャメロンさんで、いつも通りわたしの勝ち。そして、ホームに着くまで時間があるのでいつも通り肩を借りているとキャメロンさんに質問をされた。なので少しだけと目を開けると、キャメロンさんはつまらなそうな表情を浮かべ、手すりに肘をかけて頬杖をついていた。彼の視線の先には運転室があるので、やはりバトルよりも運転がしたいのだろうか。わたしとのバトルはつまらないと思われていたら残念だなあ、と思いつつ、キャメロンさんからの質問の答えを考える。
「たぶんしてないと思う」
この間、手すりは冷たくて固いなあと思った記憶があるのでそう答えると、キャメロンさんは「本当カナア」とこちらを向いた。人のことをカモ扱いしているだろうと言ってきたときと同じ表情だ。
「あ〜、ものすごく信用してない顔。ホームのベンチで起こされることはよくあるけど」
「マタ体調悪クシテ倒レルヨ」
「極力気をつけま〜す」
キャメロンさんとはじめて会ったのがカナワタウンのベンチの上で、まともに会話したのがギアステーションの医務室だった。なので毎回、ベンチで寝ているとこの話を掘り返される。別に、いつもその辺で寝ているわけではないけれど、キャメロンさんの前だとほぼその姿しか見せていないからそう思われても仕方がない。
「……アマリ男ニコウイウコトスルノハ良クナイヨ。乱暴サレタリスルカモ」
再び目を閉じると、キャメロンさんに乱暴される発言をされた。
「キャメロンさん、これからひどいことする予定あるの? やだなあ」
「ソウイウ意味ジャナクテ! ソレニ、夜ダト酔ッ払ッタオ客サンニ襲ワレルカモシレナイシ」
「そのときはそのときかなあ」
「全ク……女ノ子ナンダカラ、モット気ヲツケナキャダメダヨ」
軽口を叩いたら怒られたが、なんだかんだで心配してくれるキャメロンさんは優しい。他の人にもこんな感じなのだろうか。そう考えながら寝ているとホームに着いたと起こされて、ベンチで寝ないように注意された。
鉄道員さんに、続けて挑戦するかライモンに戻るか聞かれたのでちょっと休むと答えた。それからベンチで一休みをしていると、また寝てしまったようだった。目の前に、若干ツノが生えていそうなキャメロンさんが見える。これはちょっとまずいかな、と思いながらお客さんを案内している鉄道員さんの方に軽く視線を送ると目を逸らされてしまった。
「ホラ、起キロ」
「……あれま。キャメロンさん、おはよう」
「何ガオハヨウナノ。モウスグ、オヤスミノ時間ダヨ。ベンチデ寝ナイヨウ気ヲツケルッテ言ッテタヨネ?」
トントントン、とキャメロンさんは指で腕時計を叩く。怒っているのか、指で叩く回数がいつもより多い。ライブキャスターの電源を入れると、21時13分と表示された。流石に寝すぎたなあ……と思いつつ、他の鉄道員さんが起こしに来ないことを逆に感心してしまう。キャメロンさんがいるときはキャメロンさんが起こしにくるような、暗黙の了解でもあるのだろうか。
「極力とは言ったけど、絶対とは言ってないからセーフでしょ」
「屁理屈バッカリ、生意気ナ子ダナア。イツカ本当ニ襲ワレタリシタラ、ドウスルノ」
「そのときはキャメロンさんが助けてくれると嬉しいなあ」
「イツモココニイルワケジャナイシ、ソモソモ、俺ガ襲ウ側ダッタラドウスルノ」
「う~ん、それは困るなあ」
やはりキャメロンさんも男の人だし、そういうことをするのだろうか。でもまあ、本当にそのときはそのとき、運がなかったなあ、としか思えない。ちょっと自分に関心がなさすぎるかもしれないけれど、そう返すとキャメロンさんは大きくため息をついた。
「アアモウ、本当マイペースナ子ダナア。トニカク、モウライモンニ戻ルヨ。俺モ乗ルカラ」
「はあい。じゃあ肩貸してね」
「全ク……」
鉄道員さんも電車に乗ってライモンに戻るのか、そもそもギアステーションのシステムをよく知らないしなあ、と思いながらキャメロンさんの肩を借りる。いつもはライモン行きの電車にひとりで乗るけれど、今日はめずらしく隣に彼がいるので安心できる。こうやって肩に寄りかかられるのは迷惑じゃないのか、なんて今更考えたりもするが、貸してくれるものはとりあえず借りておこうと思う。
トントンと肩を叩かれた。目を開けるとシーズヒーターがよく見える。
「ナナシ、ソロソロ着クヨ」
「あれま、また膝借りてた」
また体勢を崩していたようだ。起き上がって顔を見ると、ものすごく呆れた表情をしている。それからクルマユのようなジト目でこちらを見るので、そういえばさっき、男にこういうことをするなと言われたばかりだった、ということを思い出して少しだけ視線を逸らしておく。
「ソノ辺デ寝ナイデ、チャント家デ寝ルンダヨ」
ホームを出て、地上出口の近くまでキャメロンさんは送ってくれた。そのときに軽く肩に手を回すあたり、他のお客さんにもやっているような手慣れている感じがあって、チャラそうポイントが高い。それから、まるで子どもに言い聞かせるように、家で寝ろと再三注意をしてきた。こちらに注意をするたびに指を振るのは、運転士としての癖なのだろうか。もういい加減説教にも飽きてきて、大丈夫大丈夫、と返すと眉間にしわを寄せられた。わたしは随分と信用されていないらしい。
「キミノ大丈夫ハ当テニナラナイカラ」
「ひどいなあ。じゃあまた明日ね~」
「俺、明日休ミダカライナイヨ」
「あれま、残念」
また明日、と言うと、休みだと返されてしまった。キャメロンさんがいないなら、明日バトルサブウェイに挑戦するのはやめよう。彼がいないときに行っても、やたら体力を吸われるだけだ。その代わりにいろいろな絵を描こうと思う。まだ全然、鉄道の10分の1も核心を見つけられていないけれど、あのときよりは見えていると思うから。
「こういうこと?」
「肩ニ保タレカカッタリ、膝ヲ枕ニシタリ」
今日の7両目はキャメロンさんで、いつも通りわたしの勝ち。そして、ホームに着くまで時間があるのでいつも通り肩を借りているとキャメロンさんに質問をされた。なので少しだけと目を開けると、キャメロンさんはつまらなそうな表情を浮かべ、手すりに肘をかけて頬杖をついていた。彼の視線の先には運転室があるので、やはりバトルよりも運転がしたいのだろうか。わたしとのバトルはつまらないと思われていたら残念だなあ、と思いつつ、キャメロンさんからの質問の答えを考える。
「たぶんしてないと思う」
この間、手すりは冷たくて固いなあと思った記憶があるのでそう答えると、キャメロンさんは「本当カナア」とこちらを向いた。人のことをカモ扱いしているだろうと言ってきたときと同じ表情だ。
「あ〜、ものすごく信用してない顔。ホームのベンチで起こされることはよくあるけど」
「マタ体調悪クシテ倒レルヨ」
「極力気をつけま〜す」
キャメロンさんとはじめて会ったのがカナワタウンのベンチの上で、まともに会話したのがギアステーションの医務室だった。なので毎回、ベンチで寝ているとこの話を掘り返される。別に、いつもその辺で寝ているわけではないけれど、キャメロンさんの前だとほぼその姿しか見せていないからそう思われても仕方がない。
「……アマリ男ニコウイウコトスルノハ良クナイヨ。乱暴サレタリスルカモ」
再び目を閉じると、キャメロンさんに乱暴される発言をされた。
「キャメロンさん、これからひどいことする予定あるの? やだなあ」
「ソウイウ意味ジャナクテ! ソレニ、夜ダト酔ッ払ッタオ客サンニ襲ワレルカモシレナイシ」
「そのときはそのときかなあ」
「全ク……女ノ子ナンダカラ、モット気ヲツケナキャダメダヨ」
軽口を叩いたら怒られたが、なんだかんだで心配してくれるキャメロンさんは優しい。他の人にもこんな感じなのだろうか。そう考えながら寝ているとホームに着いたと起こされて、ベンチで寝ないように注意された。
鉄道員さんに、続けて挑戦するかライモンに戻るか聞かれたのでちょっと休むと答えた。それからベンチで一休みをしていると、また寝てしまったようだった。目の前に、若干ツノが生えていそうなキャメロンさんが見える。これはちょっとまずいかな、と思いながらお客さんを案内している鉄道員さんの方に軽く視線を送ると目を逸らされてしまった。
「ホラ、起キロ」
「……あれま。キャメロンさん、おはよう」
「何ガオハヨウナノ。モウスグ、オヤスミノ時間ダヨ。ベンチデ寝ナイヨウ気ヲツケルッテ言ッテタヨネ?」
トントントン、とキャメロンさんは指で腕時計を叩く。怒っているのか、指で叩く回数がいつもより多い。ライブキャスターの電源を入れると、21時13分と表示された。流石に寝すぎたなあ……と思いつつ、他の鉄道員さんが起こしに来ないことを逆に感心してしまう。キャメロンさんがいるときはキャメロンさんが起こしにくるような、暗黙の了解でもあるのだろうか。
「極力とは言ったけど、絶対とは言ってないからセーフでしょ」
「屁理屈バッカリ、生意気ナ子ダナア。イツカ本当ニ襲ワレタリシタラ、ドウスルノ」
「そのときはキャメロンさんが助けてくれると嬉しいなあ」
「イツモココニイルワケジャナイシ、ソモソモ、俺ガ襲ウ側ダッタラドウスルノ」
「う~ん、それは困るなあ」
やはりキャメロンさんも男の人だし、そういうことをするのだろうか。でもまあ、本当にそのときはそのとき、運がなかったなあ、としか思えない。ちょっと自分に関心がなさすぎるかもしれないけれど、そう返すとキャメロンさんは大きくため息をついた。
「アアモウ、本当マイペースナ子ダナア。トニカク、モウライモンニ戻ルヨ。俺モ乗ルカラ」
「はあい。じゃあ肩貸してね」
「全ク……」
鉄道員さんも電車に乗ってライモンに戻るのか、そもそもギアステーションのシステムをよく知らないしなあ、と思いながらキャメロンさんの肩を借りる。いつもはライモン行きの電車にひとりで乗るけれど、今日はめずらしく隣に彼がいるので安心できる。こうやって肩に寄りかかられるのは迷惑じゃないのか、なんて今更考えたりもするが、貸してくれるものはとりあえず借りておこうと思う。
トントンと肩を叩かれた。目を開けるとシーズヒーターがよく見える。
「ナナシ、ソロソロ着クヨ」
「あれま、また膝借りてた」
また体勢を崩していたようだ。起き上がって顔を見ると、ものすごく呆れた表情をしている。それからクルマユのようなジト目でこちらを見るので、そういえばさっき、男にこういうことをするなと言われたばかりだった、ということを思い出して少しだけ視線を逸らしておく。
「ソノ辺デ寝ナイデ、チャント家デ寝ルンダヨ」
ホームを出て、地上出口の近くまでキャメロンさんは送ってくれた。そのときに軽く肩に手を回すあたり、他のお客さんにもやっているような手慣れている感じがあって、チャラそうポイントが高い。それから、まるで子どもに言い聞かせるように、家で寝ろと再三注意をしてきた。こちらに注意をするたびに指を振るのは、運転士としての癖なのだろうか。もういい加減説教にも飽きてきて、大丈夫大丈夫、と返すと眉間にしわを寄せられた。わたしは随分と信用されていないらしい。
「キミノ大丈夫ハ当テニナラナイカラ」
「ひどいなあ。じゃあまた明日ね~」
「俺、明日休ミダカライナイヨ」
「あれま、残念」
また明日、と言うと、休みだと返されてしまった。キャメロンさんがいないなら、明日バトルサブウェイに挑戦するのはやめよう。彼がいないときに行っても、やたら体力を吸われるだけだ。その代わりにいろいろな絵を描こうと思う。まだ全然、鉄道の10分の1も核心を見つけられていないけれど、あのときよりは見えていると思うから。