本編
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無機物よりも有機物の方が好きだった。森の中は日差しが柔らかくて気持ちいい。風の音、葉の擦れる音、ポケモンの鳴き声。絵のモチーフもたくさんあって、いくらでもインスピレーションが湧く。なので、ヤグルマの森にはよく通っていた。しかし、最近は別の場所にもよく通っている。
ギアステーションには人がたくさんいる。自分の住んでいるヒウンシティにも人はたくさんいるが、窮屈そうにスーツを着たビジネスマンやOLばかりなのでつまらない。対してこちらは女性男性、年齢層もバラバラだ。奇人変人なんでもござれ。人物のクロッキーをするのにちょうどいい。
構内の隅で座り込み、リュックサックの中からクロッキー帳を取り出して、エプロンに入れていた2Bの鉛筆を手に持つ。それから、せかせかと歩いている人たちをさらさらと描く。それを続けていたら声をかけられた。わたしの前に影が落ちる。邪魔だと注意されるのかと思い顔を上げると、そういうわけではないようだった。水色の髪の毛を垂らした男の人が興味深そうにスケッチブックをのぞいている。
「ナナシさん、何を描いてるんですか?」
「あ、ジャッジさん。構内を歩いている人のクロッキーをしてるんだ」
「クロッキー?」
なんだそれ、というような顔でジャッジさんは首を傾げた。確かに、絵を描かない人だとあまりなじみのない言葉かもしれない。
「デッサンみたいに時間をかけてリアルに描くんじゃなくて、30秒くらいで特徴を捉えて描くことだよ〜」
こんな感じ、と見せるとジャッジさんは驚いていた。これを30秒で描くんですか? と聞かれたので、慣れればみんな描けるようになるよ、と答えたら苦笑いをされた。
「せっかくギアステーションに来てるのに、電車なんかは描かないんですか?」
「電車をモチーフにした絵自体は最近よく描くよ。でも、ここではいろんな人が集まってるから手を慣らすために人物のクロッキーをしてるだけ。しっかりしたものを描きたいときは、アトリエで描くんだ。いろいろな画材を使うからここだと邪魔になっちゃうし、色落ち防止のスプレーなんかを撒いた日には出禁になりそう」
「ははは、確かに」
鉛筆やパステルの粉が落ちないように吹き付けるフィキサチーフは結構臭いがキツイので換気をして行わないといけない。それを窓がほぼないに等しいギアステーション内でやった日には、テロリストと勘違いされてしまいそうだ。
ジャッジさんと話し終えて、満足いく程度に人物のクロッキーを済ませると、バトルサブウェイに挑戦する準備を始めた。腹が減っては戦はできぬということで売店でサンドイッチを買い、気合のリストバンドを2つ着ける。ポケモンだったら重複禁止だが、トレーナーなら別に構わないだろう。それから、勝てるようにとおまじないを使って、7両目にキャメロンさんがいることを願いながらシングルトレインに乗車する。ただ、あまりこういうことを考えると、またカモられてると思われてしまうかもしれない。
7両目まで進んだのはいいものの、待ち構えていたのは別の鉄道員さんだった。相手には悪いけれど、あら残念、と少し思ってしまう。それでも自分なりにバトルは頑張る。しかし、いつものように本気を出せないまま負けてしまった。わたし以上に頑張ってくれたペンドラーたちに申し訳なさを感じつつ、仕方なく座席に座ってホームに着くまで寝ることにする。手すりに寄りかかると冷たくて、固い。キャメロンさんの肩も別に柔らかくないけれど、金属の固さだとちょっとなあと思う。
ホームに着いて、すぐにライモン行きの電車に乗るかと聞かれたので少し休むと答えた。そしてしばらくするとまたベンチで寝ていたようだけれど、起こしに来たのは別の鉄道員さんだった。今日の配置は違うところだったのか、それとも休みだったのだろうか。少し残念に思いながらライモン行きの電車に乗り、またホームのベンチで一休みをした。
ギアステーションには人がたくさんいる。自分の住んでいるヒウンシティにも人はたくさんいるが、窮屈そうにスーツを着たビジネスマンやOLばかりなのでつまらない。対してこちらは女性男性、年齢層もバラバラだ。奇人変人なんでもござれ。人物のクロッキーをするのにちょうどいい。
構内の隅で座り込み、リュックサックの中からクロッキー帳を取り出して、エプロンに入れていた2Bの鉛筆を手に持つ。それから、せかせかと歩いている人たちをさらさらと描く。それを続けていたら声をかけられた。わたしの前に影が落ちる。邪魔だと注意されるのかと思い顔を上げると、そういうわけではないようだった。水色の髪の毛を垂らした男の人が興味深そうにスケッチブックをのぞいている。
「ナナシさん、何を描いてるんですか?」
「あ、ジャッジさん。構内を歩いている人のクロッキーをしてるんだ」
「クロッキー?」
なんだそれ、というような顔でジャッジさんは首を傾げた。確かに、絵を描かない人だとあまりなじみのない言葉かもしれない。
「デッサンみたいに時間をかけてリアルに描くんじゃなくて、30秒くらいで特徴を捉えて描くことだよ〜」
こんな感じ、と見せるとジャッジさんは驚いていた。これを30秒で描くんですか? と聞かれたので、慣れればみんな描けるようになるよ、と答えたら苦笑いをされた。
「せっかくギアステーションに来てるのに、電車なんかは描かないんですか?」
「電車をモチーフにした絵自体は最近よく描くよ。でも、ここではいろんな人が集まってるから手を慣らすために人物のクロッキーをしてるだけ。しっかりしたものを描きたいときは、アトリエで描くんだ。いろいろな画材を使うからここだと邪魔になっちゃうし、色落ち防止のスプレーなんかを撒いた日には出禁になりそう」
「ははは、確かに」
鉛筆やパステルの粉が落ちないように吹き付けるフィキサチーフは結構臭いがキツイので換気をして行わないといけない。それを窓がほぼないに等しいギアステーション内でやった日には、テロリストと勘違いされてしまいそうだ。
ジャッジさんと話し終えて、満足いく程度に人物のクロッキーを済ませると、バトルサブウェイに挑戦する準備を始めた。腹が減っては戦はできぬということで売店でサンドイッチを買い、気合のリストバンドを2つ着ける。ポケモンだったら重複禁止だが、トレーナーなら別に構わないだろう。それから、勝てるようにとおまじないを使って、7両目にキャメロンさんがいることを願いながらシングルトレインに乗車する。ただ、あまりこういうことを考えると、またカモられてると思われてしまうかもしれない。
7両目まで進んだのはいいものの、待ち構えていたのは別の鉄道員さんだった。相手には悪いけれど、あら残念、と少し思ってしまう。それでも自分なりにバトルは頑張る。しかし、いつものように本気を出せないまま負けてしまった。わたし以上に頑張ってくれたペンドラーたちに申し訳なさを感じつつ、仕方なく座席に座ってホームに着くまで寝ることにする。手すりに寄りかかると冷たくて、固い。キャメロンさんの肩も別に柔らかくないけれど、金属の固さだとちょっとなあと思う。
ホームに着いて、すぐにライモン行きの電車に乗るかと聞かれたので少し休むと答えた。そしてしばらくするとまたベンチで寝ていたようだけれど、起こしに来たのは別の鉄道員さんだった。今日の配置は違うところだったのか、それとも休みだったのだろうか。少し残念に思いながらライモン行きの電車に乗り、またホームのベンチで一休みをした。