本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今日もわたしの勝ちだ〜」
「生キテルポケモンニ言ウコト聞イテモラウノハ難シイナ」
キャメロンさんはため息交じりに言うと、戦闘不能になったジャローダをボールに戻した。わたしも、フィールドに立っているペンドラーを軽くなでたあとボールに戻す。彼曰く、バトルはあまり得意ではないらしい。電車を運転する方が好きなようだけど、それでもバトル要員に駆り出されるのだから、鉄道員の中では強い方なのだと思う。
どさっと乱暴に足を組んで座席に座る。本当ならそういうお客さんに注意をする側の人間だろうに、車内にわたししかいないから気にしないのだろうか。わたしもキャメロンさんの隣に座る。ホームに着くまでまだ時間があった。
「キャメロンさん、わたしちょっと寝るから肩借りるね〜」
「芸術家ニ言ウコト聞イテモラウノモ難シイナ」
バトルを終えて、ちかちかする目を閉じる。キャメロンさんはまた深くため息をついたけれど、なんだかんだでいつも肩を貸してくれる。チャラそうな見た目や言動なのに、案外優しい人だ。あまり覚えていないけれど、他の鉄道員さんは勝っても負けても座席に座っていなかったような気がする。もしかすると、本当ならキャメロンさんも規則的には立っていないとダメなのかもしれない。でも、肩に寄りかかれた方がこちらとしては楽なので別にいい。ずっと規則違反をしていてくれ、と思う。
「ナナシ、モウソロソロ着クヨ」
キャメロンさんの声で目が覚める。ただ、起きたら目線が低かった。窓ではなくて、向かいの座席にあるシーズヒーターがよく見える。
「あれま、膝まで借りてた」
寝ている間に体勢が崩れたのか、膝枕をしてもらっていた。キャメロンさんは座るとき足を組んでいたのに、今はきちんと閉じられている。まだ完全に頭が回っておらず、よいしょと言いながらゆっくり起き上がると、また深くため息をつかれてしまった。それでも、ホームに着くまで寝かせてくれるのだから本当に優しい人だ。
「BPありがと〜、また明日来るね」
「明日モコノ配置ダト限ラナインダケド。ッテイウカ、俺ノコト、BP稼ギノカモニチョウドイイトカ思ッテルデショ」
BPを受け取ると、キャメロンさんに疑いの眼差しを向けられてしまった。別にキャメロンさんのことをカモだと思ったことはないけれど、実際BPをくれる鉄道員さんはほぼキャメロンさんだけに等しかった。他の鉄道員さんに勝ったことはあまりない。他の鉄道員さんには申し訳ないが、あまり本気を出して戦えないのだ。とはいえ、そんなことを言うわけにいかないのでとりあえずぼかしておく。
「どうだろう、でも他の鉄道員さんに勝ったことないから、もしかしてそうなのかも」
わたしの答えに、キャメロンさんはやれやれとため息をつきながら頭に手を添えた。
「アア、生意気ナヤツ。黙ッテレバカワイイノニ」
「キャメロンさんに褒めてもらえるとは嬉しいな〜」
黙っていればかわいい。キャメロンさんはそういうことを他の人にも簡単に言うタイプなのだろうか。チャラそうな見た目だし、他のお客さんを口説いていてもおかしくないかもしれない。喋っているときのわたしは、キャメロンさんの瞳にどう映っているのだろう。BP稼ぎのために通って、用が終わったら寝て帰る絵描きくらいの認識だろうか。
電車が完全に止まると扉が開いた。ぽんと軽く背中を押されて降ろされる。
「ハイハイ、ホームニ着イタヨ。ベンチデ寝ナイデ、続ケテチャレンジスルカ、ライモンニ帰ルカシテネ」
「はあい」
ベンチで寝ないよう注意してきたキャメロンさんに軽く返事をして手を振った。わたしは記録をつけるために一度ここで降りるが、電車はまた次のポイントへ向かって走っていく。それを見送ると、鉄道員さんに続けてチャレンジするかライモンに帰るか聞かれたので、ちょっと休憩すると答えてベンチに座った。わたしはいつも、7両目まで行ったら勝っても負けても続けて乗らず、少し休んでから帰ることにしている。
目を瞑って、ちょっと肌寒いなあと思っていたら、聞き覚えのある声が降ってきた。なので目を開けると、腰に手を当てたキャメロンさんがこちらをのぞき込んでいた。呆れたと言わんばかりの顔をしているような気がする。
「オ客サン、ココデ寝ラレルト困ッチャウカラヤメテホシイナア」
「あれま、キャメロンさん。さっきぶり?」
さっき見送ったはずのキャメロンさんが目の前にいる。そんなにも寝ていただろうかと思っていると、彼はトントンと腕時計を指で叩いた。
「何時間経ッタト思ッテンノ。ベンチデ寝ナイデネッテ言ッタヨネ?」
「あらら、もう2時間も経ってたんだ。ごめんなさい」
ライブキャスターの電源を入れると、18時46分と表示された。16時過ぎにキャメロンさんと別れて、体感15分くらい休んでいたつもりだったのに思っていた以上に時間が過ぎていた。キャメロンさんはまた深くため息をついている。わたしと一緒にいると、キャメロンさんは幸せがたくさん逃げていくかもしれない。
「モウ夜ニナッチャウヨ。ライモン行キノ電車ニ乗ッテモラウカラネ」
「はあい」
正直、ライモンシティに着いてもベンチで休みたい気分だったが、仮にまた寝てしまったら流石に怒られそうなので、すぐそこのポケモンセンターで横になろうと思う。家はヒウンシティにあるけれど、別に一人暮らしだからそのまま泊まっていってもいいし、帰りが遅くなっても構わないだろう。バトルサブウェイ内での行動は、普段ものづくりをするとき以上に疲れる。
「生キテルポケモンニ言ウコト聞イテモラウノハ難シイナ」
キャメロンさんはため息交じりに言うと、戦闘不能になったジャローダをボールに戻した。わたしも、フィールドに立っているペンドラーを軽くなでたあとボールに戻す。彼曰く、バトルはあまり得意ではないらしい。電車を運転する方が好きなようだけど、それでもバトル要員に駆り出されるのだから、鉄道員の中では強い方なのだと思う。
どさっと乱暴に足を組んで座席に座る。本当ならそういうお客さんに注意をする側の人間だろうに、車内にわたししかいないから気にしないのだろうか。わたしもキャメロンさんの隣に座る。ホームに着くまでまだ時間があった。
「キャメロンさん、わたしちょっと寝るから肩借りるね〜」
「芸術家ニ言ウコト聞イテモラウノモ難シイナ」
バトルを終えて、ちかちかする目を閉じる。キャメロンさんはまた深くため息をついたけれど、なんだかんだでいつも肩を貸してくれる。チャラそうな見た目や言動なのに、案外優しい人だ。あまり覚えていないけれど、他の鉄道員さんは勝っても負けても座席に座っていなかったような気がする。もしかすると、本当ならキャメロンさんも規則的には立っていないとダメなのかもしれない。でも、肩に寄りかかれた方がこちらとしては楽なので別にいい。ずっと規則違反をしていてくれ、と思う。
「ナナシ、モウソロソロ着クヨ」
キャメロンさんの声で目が覚める。ただ、起きたら目線が低かった。窓ではなくて、向かいの座席にあるシーズヒーターがよく見える。
「あれま、膝まで借りてた」
寝ている間に体勢が崩れたのか、膝枕をしてもらっていた。キャメロンさんは座るとき足を組んでいたのに、今はきちんと閉じられている。まだ完全に頭が回っておらず、よいしょと言いながらゆっくり起き上がると、また深くため息をつかれてしまった。それでも、ホームに着くまで寝かせてくれるのだから本当に優しい人だ。
「BPありがと〜、また明日来るね」
「明日モコノ配置ダト限ラナインダケド。ッテイウカ、俺ノコト、BP稼ギノカモニチョウドイイトカ思ッテルデショ」
BPを受け取ると、キャメロンさんに疑いの眼差しを向けられてしまった。別にキャメロンさんのことをカモだと思ったことはないけれど、実際BPをくれる鉄道員さんはほぼキャメロンさんだけに等しかった。他の鉄道員さんに勝ったことはあまりない。他の鉄道員さんには申し訳ないが、あまり本気を出して戦えないのだ。とはいえ、そんなことを言うわけにいかないのでとりあえずぼかしておく。
「どうだろう、でも他の鉄道員さんに勝ったことないから、もしかしてそうなのかも」
わたしの答えに、キャメロンさんはやれやれとため息をつきながら頭に手を添えた。
「アア、生意気ナヤツ。黙ッテレバカワイイノニ」
「キャメロンさんに褒めてもらえるとは嬉しいな〜」
黙っていればかわいい。キャメロンさんはそういうことを他の人にも簡単に言うタイプなのだろうか。チャラそうな見た目だし、他のお客さんを口説いていてもおかしくないかもしれない。喋っているときのわたしは、キャメロンさんの瞳にどう映っているのだろう。BP稼ぎのために通って、用が終わったら寝て帰る絵描きくらいの認識だろうか。
電車が完全に止まると扉が開いた。ぽんと軽く背中を押されて降ろされる。
「ハイハイ、ホームニ着イタヨ。ベンチデ寝ナイデ、続ケテチャレンジスルカ、ライモンニ帰ルカシテネ」
「はあい」
ベンチで寝ないよう注意してきたキャメロンさんに軽く返事をして手を振った。わたしは記録をつけるために一度ここで降りるが、電車はまた次のポイントへ向かって走っていく。それを見送ると、鉄道員さんに続けてチャレンジするかライモンに帰るか聞かれたので、ちょっと休憩すると答えてベンチに座った。わたしはいつも、7両目まで行ったら勝っても負けても続けて乗らず、少し休んでから帰ることにしている。
目を瞑って、ちょっと肌寒いなあと思っていたら、聞き覚えのある声が降ってきた。なので目を開けると、腰に手を当てたキャメロンさんがこちらをのぞき込んでいた。呆れたと言わんばかりの顔をしているような気がする。
「オ客サン、ココデ寝ラレルト困ッチャウカラヤメテホシイナア」
「あれま、キャメロンさん。さっきぶり?」
さっき見送ったはずのキャメロンさんが目の前にいる。そんなにも寝ていただろうかと思っていると、彼はトントンと腕時計を指で叩いた。
「何時間経ッタト思ッテンノ。ベンチデ寝ナイデネッテ言ッタヨネ?」
「あらら、もう2時間も経ってたんだ。ごめんなさい」
ライブキャスターの電源を入れると、18時46分と表示された。16時過ぎにキャメロンさんと別れて、体感15分くらい休んでいたつもりだったのに思っていた以上に時間が過ぎていた。キャメロンさんはまた深くため息をついている。わたしと一緒にいると、キャメロンさんは幸せがたくさん逃げていくかもしれない。
「モウ夜ニナッチャウヨ。ライモン行キノ電車ニ乗ッテモラウカラネ」
「はあい」
正直、ライモンシティに着いてもベンチで休みたい気分だったが、仮にまた寝てしまったら流石に怒られそうなので、すぐそこのポケモンセンターで横になろうと思う。家はヒウンシティにあるけれど、別に一人暮らしだからそのまま泊まっていってもいいし、帰りが遅くなっても構わないだろう。バトルサブウェイ内での行動は、普段ものづくりをするとき以上に疲れる。
1/10ページ