◇ハロウィン2019
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「トリック、オア、トリート!」
仮装したミノルが職員たちから菓子を貰っている。イベント用のものを渡している職員もいれば、ミノル用に用意してくれた職員もいる。
「あとで先輩方にお礼しないとですね。何にしようかな」
その様子を微笑ましく見ている嫁はかわいらしいが、少しだけ心配になる。
「そこまで気い使わんでも大丈夫やろ。イベント用にもともと菓子を持ってたわけやし」
「でも、わざわざミノルのためにお菓子を用意してくれた先輩もいますよ?」
「まあそうやけど、お前、お礼とか言うて絶対全員分の菓子を作るやろ。逆に周りが気い使ってまうわ」
そう指摘すると、うっ、と言葉を詰まらせた。本当に全員分作るつもりだったらしい。何かしてもらったらお礼をするという律儀さは褒めてやるが、流石にそれなりに人数のいる職員全員にお礼を用意しようとしてまた体を壊されたのでは敵わないので釘を刺しておく。
「それよりナナシ、わしには何かないんか?」
「お菓子ならお互い持ってるじゃないですか。イタズラなんてなしですよ」
trick or treatと言うと、ナナシは口を尖らせた。今日はイベントのために自分もナナシも菓子を持っていた。だから、イタズラを受ける筋合いはないと言う。
「へえ、その割に手ぶらやないか」
ぎくり、とナナシの体が少しだけ動いた。女性鉄道員というのが珍しいからか、黒ボスと白ボスの他に、ナナシから菓子を受け取ろうとする子どもが多かった。なので、ナナシが持っていた菓子は現在手元にない状態だ。顔を赤くしたナナシは少しだけこちらを睨む。
「でも、デスクに戻ればまだ配りきれてないお菓子がありますから!」
「わしは『今』言ってるんやで。菓子か悪戯、どっちがええか」
我ながら意地悪な質問をすると、ナナシは口を一文字にしたあとしばらくして前髪をいじる仕草をした。それから下を向くと小さな声で「……家に帰ってからにしてください」とつぶやいた。
周りから見えないようにこっそりと、軽く手を繋いでくる。そうやって、少し甘えたがりな嫁と、職員たちから菓子を貰ってニコニコしている息子の姿を見ることができて、案外ハロウィンという行事も悪くないものだと思う。
仮装したミノルが職員たちから菓子を貰っている。イベント用のものを渡している職員もいれば、ミノル用に用意してくれた職員もいる。
「あとで先輩方にお礼しないとですね。何にしようかな」
その様子を微笑ましく見ている嫁はかわいらしいが、少しだけ心配になる。
「そこまで気い使わんでも大丈夫やろ。イベント用にもともと菓子を持ってたわけやし」
「でも、わざわざミノルのためにお菓子を用意してくれた先輩もいますよ?」
「まあそうやけど、お前、お礼とか言うて絶対全員分の菓子を作るやろ。逆に周りが気い使ってまうわ」
そう指摘すると、うっ、と言葉を詰まらせた。本当に全員分作るつもりだったらしい。何かしてもらったらお礼をするという律儀さは褒めてやるが、流石にそれなりに人数のいる職員全員にお礼を用意しようとしてまた体を壊されたのでは敵わないので釘を刺しておく。
「それよりナナシ、わしには何かないんか?」
「お菓子ならお互い持ってるじゃないですか。イタズラなんてなしですよ」
trick or treatと言うと、ナナシは口を尖らせた。今日はイベントのために自分もナナシも菓子を持っていた。だから、イタズラを受ける筋合いはないと言う。
「へえ、その割に手ぶらやないか」
ぎくり、とナナシの体が少しだけ動いた。女性鉄道員というのが珍しいからか、黒ボスと白ボスの他に、ナナシから菓子を受け取ろうとする子どもが多かった。なので、ナナシが持っていた菓子は現在手元にない状態だ。顔を赤くしたナナシは少しだけこちらを睨む。
「でも、デスクに戻ればまだ配りきれてないお菓子がありますから!」
「わしは『今』言ってるんやで。菓子か悪戯、どっちがええか」
我ながら意地悪な質問をすると、ナナシは口を一文字にしたあとしばらくして前髪をいじる仕草をした。それから下を向くと小さな声で「……家に帰ってからにしてください」とつぶやいた。
周りから見えないようにこっそりと、軽く手を繋いでくる。そうやって、少し甘えたがりな嫁と、職員たちから菓子を貰ってニコニコしている息子の姿を見ることができて、案外ハロウィンという行事も悪くないものだと思う。