本編
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ぼんやりとした空間の中で誰かの話し声が聞こえる。聞き覚えのある声だが、ぼーっとしていて誰だかわからない。もう少しこのままでいようかと思っていたら、その声は次第に大きくなった。
「ジャッキー、起きてる? 起きてないね。早く起きろー」
「は、え、ナナシさん?」
「あ、やっと起きた。おはよ」
突然の出来事に動揺している僕とは対照的に、ナナシさんはあっけらかんとした態度で挨拶をしてきた。先ほどから聞こえていた話し声の主はナナシさんとフローゼルだったらしい。きょろきょろと周りを見渡すと、さっきまで飲み会をしていた事務所ではなく僕の部屋だった。
「ちょ、ちょっと、なんで僕の部屋に」
休日にナナシさんを部屋に招いたことはあれど、こうやって起きたら目の前にナナシさんがいる光景ははじめてだ。
「フローゼルに呼ばれたんだ。ジャッキーが起きないからって。ねえねえ、もう仕事行く時間じゃないの」
仕事に行く時間と言われてサッと顔が青くなるのを感じる。今日は通常出勤だ。7時には朝礼が始まる。
「うそ、今何時ですか」
「6時40分」
「うわっ寝坊だ」
ガバッとベッドから起き上がるとナナシさんは僕の様子を見て能天気に笑っていた。
「昨日いっぱいお酒飲んでたもんね。アハハ、ジャッキー髭生えてる」
そう指摘されて思わず腕で口元を隠す。
「そりゃ男ですから髭くらい生えますって。そうじゃなくて、あの、僕着替えるんで部屋から出てもらえますか」
「わたしは気にしないから大丈夫だよ?」
「僕が気にするんで大丈夫じゃないです!」
いつもと姿の違う僕が珍しいようで、目をらんらんとさせながら口角を上げている彼女を部屋から追い出す。男が支度する様を見て何が楽しいというのか。
「ちえ。まったく、せっかく起こしに来てあげたのに。早く支度して仕事来てね」
軽く舌を出した彼女を見届けてから急いで仕事へ行く支度をする。髪はボサボサだし、髭は生えてるし、すごく格好悪いところを見られた。
「もう、わざわざナナシさんを呼ぶんじゃなくて、フローゼルが起こしてくれればいいじゃないですか」
ネクタイを締めながらキッとフローゼルを睨むと、フローゼルは知らないというようにプイッとそっぽを向いた。
「あ、やっと来た。ギリギリセーフだね」
朝礼5分前に事務所に着くと、ニコニコしたナナシさんが待っていた。
「急いで支度しましたから……こういうとき、職場内に家があると便利ですね」
「アハハ、確かに。わたしとフローゼルに感謝してよねー。でも急ぎすぎてここ、寝癖ついたままだよ」
ナナシさんが寝癖のついた部分を触ろうとするので、顔を逸らして帽子を目深に被る。
「帽子被ればわかりませんから大丈夫です! 恥ずかしいのであまり見ないでください」
「今度からちゃんとお酒飲む量セーブしないとだめだよ」
「いつもはそんなに飲みませんし、だいたい未成年者飲酒の上に酔っ払っていろいろな人に抱きつくような酒癖の悪い人に言われたくないです」
「うわー、かわいげない返事。寝顔はかわいかったのに」
「うるさいです」
しかし、確かに次からはお酒を飲む量を考えないといけない。飲み会の途中から記憶がなくなるなんてはじめての経験だった。
「頭痛くなったり気持ち悪くなってたりしない? 二日酔いになるとそうなるって聞いた」
「二日酔いにはなってないので大丈夫です」
僕のその返事に対しナナシさんは興味なさげに「ふうん」とだけ言い、まだ眠っているだろうシママを起こしに向かって行った。その様子を見ていたクラウドさんが茶化しにこちらへ来る。
「おうおう、起こしに来てくれる彼女がいてると楽でええな」
「僕とナナシさんはそういう関係じゃないですから」
「いじっぱりやな。さっさと自分の気持ちくらい認めんかい」
「別に、今日だってフローゼルが勝手にナナシさんを呼ぶから」
僕がナナシさんに起こしてと頼んだわけでないし、ナナシさんも自発的にこちらへ来たわけじゃない。フローゼルがナナシさんに頼んだから、ナナシさんは僕のところへ来たのだ。だから僕たちはそういう関係じゃないし、なんとも思っていない。しかしクラウドさんの言葉に思わず、は? と言いそうになる。
「あー、さいですかー。酔っ払ってたときは素直やったのになあ。好きやとか、他の男のところに行くのはムカつくとか言うて」
「なっ、そんなこと言った覚えないですよ」
「そらそうやろ。お前、酔い潰れて途中で寝てしもうたから、わざわざわしがお前を部屋まで運んだんや。そんとき、寝言でなんやいろいろ言うとったで。まあ安心せい。ナナシは一緒やなかったから」
クラウドさんは呆れた様子で僕を見ていた。
「酔っ払っていろんな男のところへ行くナナシもナナシやけど、それが嫌なんやらさっさと縛っときや」
「ジャッキー、起きてる? 起きてないね。早く起きろー」
「は、え、ナナシさん?」
「あ、やっと起きた。おはよ」
突然の出来事に動揺している僕とは対照的に、ナナシさんはあっけらかんとした態度で挨拶をしてきた。先ほどから聞こえていた話し声の主はナナシさんとフローゼルだったらしい。きょろきょろと周りを見渡すと、さっきまで飲み会をしていた事務所ではなく僕の部屋だった。
「ちょ、ちょっと、なんで僕の部屋に」
休日にナナシさんを部屋に招いたことはあれど、こうやって起きたら目の前にナナシさんがいる光景ははじめてだ。
「フローゼルに呼ばれたんだ。ジャッキーが起きないからって。ねえねえ、もう仕事行く時間じゃないの」
仕事に行く時間と言われてサッと顔が青くなるのを感じる。今日は通常出勤だ。7時には朝礼が始まる。
「うそ、今何時ですか」
「6時40分」
「うわっ寝坊だ」
ガバッとベッドから起き上がるとナナシさんは僕の様子を見て能天気に笑っていた。
「昨日いっぱいお酒飲んでたもんね。アハハ、ジャッキー髭生えてる」
そう指摘されて思わず腕で口元を隠す。
「そりゃ男ですから髭くらい生えますって。そうじゃなくて、あの、僕着替えるんで部屋から出てもらえますか」
「わたしは気にしないから大丈夫だよ?」
「僕が気にするんで大丈夫じゃないです!」
いつもと姿の違う僕が珍しいようで、目をらんらんとさせながら口角を上げている彼女を部屋から追い出す。男が支度する様を見て何が楽しいというのか。
「ちえ。まったく、せっかく起こしに来てあげたのに。早く支度して仕事来てね」
軽く舌を出した彼女を見届けてから急いで仕事へ行く支度をする。髪はボサボサだし、髭は生えてるし、すごく格好悪いところを見られた。
「もう、わざわざナナシさんを呼ぶんじゃなくて、フローゼルが起こしてくれればいいじゃないですか」
ネクタイを締めながらキッとフローゼルを睨むと、フローゼルは知らないというようにプイッとそっぽを向いた。
「あ、やっと来た。ギリギリセーフだね」
朝礼5分前に事務所に着くと、ニコニコしたナナシさんが待っていた。
「急いで支度しましたから……こういうとき、職場内に家があると便利ですね」
「アハハ、確かに。わたしとフローゼルに感謝してよねー。でも急ぎすぎてここ、寝癖ついたままだよ」
ナナシさんが寝癖のついた部分を触ろうとするので、顔を逸らして帽子を目深に被る。
「帽子被ればわかりませんから大丈夫です! 恥ずかしいのであまり見ないでください」
「今度からちゃんとお酒飲む量セーブしないとだめだよ」
「いつもはそんなに飲みませんし、だいたい未成年者飲酒の上に酔っ払っていろいろな人に抱きつくような酒癖の悪い人に言われたくないです」
「うわー、かわいげない返事。寝顔はかわいかったのに」
「うるさいです」
しかし、確かに次からはお酒を飲む量を考えないといけない。飲み会の途中から記憶がなくなるなんてはじめての経験だった。
「頭痛くなったり気持ち悪くなってたりしない? 二日酔いになるとそうなるって聞いた」
「二日酔いにはなってないので大丈夫です」
僕のその返事に対しナナシさんは興味なさげに「ふうん」とだけ言い、まだ眠っているだろうシママを起こしに向かって行った。その様子を見ていたクラウドさんが茶化しにこちらへ来る。
「おうおう、起こしに来てくれる彼女がいてると楽でええな」
「僕とナナシさんはそういう関係じゃないですから」
「いじっぱりやな。さっさと自分の気持ちくらい認めんかい」
「別に、今日だってフローゼルが勝手にナナシさんを呼ぶから」
僕がナナシさんに起こしてと頼んだわけでないし、ナナシさんも自発的にこちらへ来たわけじゃない。フローゼルがナナシさんに頼んだから、ナナシさんは僕のところへ来たのだ。だから僕たちはそういう関係じゃないし、なんとも思っていない。しかしクラウドさんの言葉に思わず、は? と言いそうになる。
「あー、さいですかー。酔っ払ってたときは素直やったのになあ。好きやとか、他の男のところに行くのはムカつくとか言うて」
「なっ、そんなこと言った覚えないですよ」
「そらそうやろ。お前、酔い潰れて途中で寝てしもうたから、わざわざわしがお前を部屋まで運んだんや。そんとき、寝言でなんやいろいろ言うとったで。まあ安心せい。ナナシは一緒やなかったから」
クラウドさんは呆れた様子で僕を見ていた。
「酔っ払っていろんな男のところへ行くナナシもナナシやけど、それが嫌なんやらさっさと縛っときや」