本編
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「ねえねえジャッキー、ご飯ちょうだい」
管制室にいるクダリさんに書類を渡してから構内へ戻ろうと職員用通路を歩いている途中、突然ナナシさんにお供え物を要求された。用があったからこっちに来ただけで、休憩しに来たんじゃないんだけどなあ、と思わずため息が出る。
「はあ、今度は何をお供えしてほしいんですか。でもまだ休憩じゃないので何も渡せませんよ」
「違う違う、わたしのじゃなくて、この子の」
ナナシさんが指差す方を見ると、ナナシさんの後ろに隠れるようにしてこちらを見るシママがいた。とても警戒しているようで、ばちばちと放電している。
「迷子なのかな? さっき構内を歩いていたら見つけたんだ」
「ちゃんと姿を隠して出歩いていたんでしょうね」
ナナシさんには前科があるので思わず疑ってしまう。ナナシさんの方も一応この間のことを反省しているようで、「大丈夫だって。この子の前以外ではちゃんと姿を消してたよ」と少しオロオロしながら答えた。
「あのねー、この子お腹が空いてるみたいなんだ。それに、なんか痩せて見える」
「確かにそうですね……」
ナナシさんの言う通り、平均的なシママよりもやや痩せていた。僕が手を伸ばすとシママは一層警戒しばちばちと放電して威嚇を始める。ひどく怯えていて、今にも噛み付かんばかりのようにも見えた。しかし、その反面電気の威力はとても弱く、静電気に当たったくらいの痛みしか感じられない。
「怖いの? このお兄さん怖い人じゃないよ」
ナナシさんが落ち着かせるようにシママを抱きしめる真似をした。シママは不安そうにキュルルルと鳴いている。ナナシさんのことはあまり警戒していないようだった。
「あんまり人間に慣れていないというか、人間嫌いというか……とりあえず、迷子というわけではなさそうですね」
「そうなの? なんで?」
ギアステーションにいるのにトレーナーが一緒にいないならここの迷子でしょ? とナナシさんは不思議そうに首を傾げた。
「バトルサブウェイに通うお客様が連れているポケモンにしては、レベルが低すぎます。仮に、バトルサブウェイではなく通常列車ご利用のお客様のポケモンだとしても、です。体が小柄なので、まだ生まれたばかりなのかもしれません。そんな状態でボールに入れずに連れまわすなんて危険です。ですが、野生のポケモンというわけでもなさそうですね。ライモン周辺にシママは生息していないはずですから」
ナナシさんは不快そうに眉間にしわを寄せた。
「じゃあ、誰かに捨てられたってこと?」
「かもしれません。一応、放送はかけますが、トレーナーが迎えに来る可能性はあまり期待しない方が良さそうですね」
「そうなんだ……えーっと、シママ、だっけ。とりあえず、ご飯食べて元気になろうね」
休憩室へ移動し、僕はポケモンフーズを用意した。ナナシさんたちは隅の方で座っている。僕が近づくとシママは威嚇して立ち上がるが仕方がない。用意したものを置いて、僕は業務に戻ることにする。
「ポケモンフーズはここに置いておきますね。僕は一度業務に戻らないといけないので、ナナシさん、シママのことよろしくお願いします」
「うん、いってらっしゃい」
ナナシさんはシママをなでる真似をしながら笑顔で僕に手を振った。正直ふたりを置いて仕事に戻るのは気が引けたが、ナナシさんの体ならば攻撃されても特に怪我をすることもないし大丈夫だろうと考えたい。とりあえず、やらなければならないことをさっさと終わらせて休憩室へ戻ろうと思う。
管制室にいるクダリさんに書類を渡してから構内へ戻ろうと職員用通路を歩いている途中、突然ナナシさんにお供え物を要求された。用があったからこっちに来ただけで、休憩しに来たんじゃないんだけどなあ、と思わずため息が出る。
「はあ、今度は何をお供えしてほしいんですか。でもまだ休憩じゃないので何も渡せませんよ」
「違う違う、わたしのじゃなくて、この子の」
ナナシさんが指差す方を見ると、ナナシさんの後ろに隠れるようにしてこちらを見るシママがいた。とても警戒しているようで、ばちばちと放電している。
「迷子なのかな? さっき構内を歩いていたら見つけたんだ」
「ちゃんと姿を隠して出歩いていたんでしょうね」
ナナシさんには前科があるので思わず疑ってしまう。ナナシさんの方も一応この間のことを反省しているようで、「大丈夫だって。この子の前以外ではちゃんと姿を消してたよ」と少しオロオロしながら答えた。
「あのねー、この子お腹が空いてるみたいなんだ。それに、なんか痩せて見える」
「確かにそうですね……」
ナナシさんの言う通り、平均的なシママよりもやや痩せていた。僕が手を伸ばすとシママは一層警戒しばちばちと放電して威嚇を始める。ひどく怯えていて、今にも噛み付かんばかりのようにも見えた。しかし、その反面電気の威力はとても弱く、静電気に当たったくらいの痛みしか感じられない。
「怖いの? このお兄さん怖い人じゃないよ」
ナナシさんが落ち着かせるようにシママを抱きしめる真似をした。シママは不安そうにキュルルルと鳴いている。ナナシさんのことはあまり警戒していないようだった。
「あんまり人間に慣れていないというか、人間嫌いというか……とりあえず、迷子というわけではなさそうですね」
「そうなの? なんで?」
ギアステーションにいるのにトレーナーが一緒にいないならここの迷子でしょ? とナナシさんは不思議そうに首を傾げた。
「バトルサブウェイに通うお客様が連れているポケモンにしては、レベルが低すぎます。仮に、バトルサブウェイではなく通常列車ご利用のお客様のポケモンだとしても、です。体が小柄なので、まだ生まれたばかりなのかもしれません。そんな状態でボールに入れずに連れまわすなんて危険です。ですが、野生のポケモンというわけでもなさそうですね。ライモン周辺にシママは生息していないはずですから」
ナナシさんは不快そうに眉間にしわを寄せた。
「じゃあ、誰かに捨てられたってこと?」
「かもしれません。一応、放送はかけますが、トレーナーが迎えに来る可能性はあまり期待しない方が良さそうですね」
「そうなんだ……えーっと、シママ、だっけ。とりあえず、ご飯食べて元気になろうね」
休憩室へ移動し、僕はポケモンフーズを用意した。ナナシさんたちは隅の方で座っている。僕が近づくとシママは威嚇して立ち上がるが仕方がない。用意したものを置いて、僕は業務に戻ることにする。
「ポケモンフーズはここに置いておきますね。僕は一度業務に戻らないといけないので、ナナシさん、シママのことよろしくお願いします」
「うん、いってらっしゃい」
ナナシさんはシママをなでる真似をしながら笑顔で僕に手を振った。正直ふたりを置いて仕事に戻るのは気が引けたが、ナナシさんの体ならば攻撃されても特に怪我をすることもないし大丈夫だろうと考えたい。とりあえず、やらなければならないことをさっさと終わらせて休憩室へ戻ろうと思う。