納棺師夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
猫みたいだと言われることよくある。気まぐれでマイペースな自由人とも
異形の者となった今でもそう言われ続けている
そんなに自分は自由そうに見えるんだろうか?
「…はぁ」
『コミュニケーションだよ納棺師くん
少しぐらい付き合ってくれてもいいじゃないか
近しい職業のよしみでさ』
生前は墓守として働いていた自分は墓荒らしに殺されてそいつがいつかこの荘園に来ないかとずっと待っていた
まぁ、そいつは先日ここに現れ後悔するような悲惨な目に合わせてやって晴れて自分は成仏できる!と思っていたのだが
何故かまだ消えることがない。なら他に何か心残りが…あった。自分は殺された後適当な他人の墓に埋められて土となった…その姿はとても汚い姿だった…
これでも、女だから綺麗な姿にしてもらってからゆっくりと眠りたいのが生前の夢でもあった
だから頼んたんだ。彼に、自分を納棺して欲しいと
『その注射は必要なのかい?』
「…念の為です。効果はないようですが」
『もう死んでいるからね
ふふっ、意識があるのに死化粧というのも不思議だ
ちゃんと元の姿に戻してくれよ。納棺師』
「それは安心してください…
綺麗な姿にして送り出して差し上げますよ」
そう言いながら納棺師に抱き上げられ棺に納められる。いつもゲームのときに持っている化粧箱から道具を取りだし、丁寧に死化粧をされる
少し擽ったくって身じろぐと動かないでと静かに叱られてしまった
目を閉じていると薬品と花の香りを強く感じる
自分が守って来た死者達もこんな安らかな気持ちで死化粧をされていたのだろうか…いや、意識が普通はないから気持ちはないのだろうか
『君の手は暖かいね…とても安心するよ』
「…そうですか」
『本当に口数が少ないね…
まぁ、だからこそ安心してしまうのかもしれないが』
「そういうティーナさんはいつもよりお喋りですね」
いつもは静かに周りを観察するか、鼻歌を歌いながらゲームのをするかしかしないのに。と言われ苦笑いをもらす
確かに自分は社交的な方ではない
まぁ、この納棺師のように社交恐怖があるわけではないけれど
『正直…少なからず恐怖してるんだ』
「何をですか?」
『…秘密』
カチッと化粧箱が閉まる音がした。死化粧が完成したのだろうか、ゆっくりと目を開くと至近距離で私を覗き込む納棺師がいた
きっと最終確認に夢中になっているのだろう…こっちの気も知らないで
「ふふっ、とてもお綺麗ですよ…」
『そうか…
意中の人も振り向いてくれそうなぐらい綺麗かい?』
「え……?」
『なんだい、その意外そうな顔は
自分にも好きな人ぐらいいるさ…異形姿じゃきっと愛して貰えないからね
この姿なら少しぐらい意識してくれそうかい?』
「……知りませんよ。そんなこと」
『残念…』
またゆっくり目を閉じる。ああ、この体になってから感じたことがなかった強い眠気が襲ってくる
やっと、休むことができるのだと…そう感じた
棺の蓋を準備しているのだろう横から音が聞こえる
『納棺師くん…自分の最後の言葉を聞いてくれるかい?』
「…いいですよ」
『綺麗にしてくれてありがとう
自分は本当はね。---------。--------…』
蓋が落ちるような音が鳴った。とても大きな音で普段なら目が覚めるような音なのに深い眠りに落ちるような感覚が強まっていく
納棺師くんが何か言っているような気がするが何も聞こえない
おや?ここは室内のはずなのに雨が降ってきたようだ…自分の好きな雨…冷たいハズなのに暖かい何かに包まれてるような気がした
ああ、なんだかとても幸せだなぁ…
【安らかな棺の中で】
(自分は本当はね。イソップ…君のことを愛していたんだよ。本当は誰かに君が取られてしまうことが怖い…かな…)
(そう言って眠ってしまった貴方は本当にずるい人だ)
2/2ページ