私と兄の話
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叔父の家からの帰り道で事故に合い両親は交通事故で死んだ
でも、私は知ってる。朦朧とした中で見ていたから、叔父が両親を納棺する姿を静かに…ずっと…
「君はまだ生きている。だから、これからは私が面倒を見てあげよう」
『…ありがとう、ジェイ』
街の病室で私の頭を優しく撫でてくれる叔父のジェイにただ微笑む
彼の死者と生者の違いを私は理解してあげれないけど、1人にしたらもっといけないような気がした。
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ジェイとの生活は裕福では無いけど貧困している訳でもなかった。彼はよく仕事部屋に死者を連れて来る
私は死者が怖いけどちゃんと採寸して、眠る為の素敵な服を準備してあげる
両親は少しだけ有名な仕立て屋でその技術は受け継いていたから服作りはお手の物だ。服を作っている間は考え事をしなくて済むからとても助かった
それが無ければ早々に…いや、それさえ無ければ私はジェイから逃げることが出来たのかもしれない。もしかしたら、間違いを指摘してあげれたかもしれない…全部、今更だけど
「少し出かけてくるよ」
『行ってらっしゃい、気をつけてね』
ジェイの姿が見えなくなるまで手を振り。完全に見えなくなると安堵の溜息をつく
とりあえず、家事と買い出しをし昼は適当に済ませ夕餉の支度の時間まで自室で新しいブローチを沢山作ることにした
思ったよりも私が作ったブローチなどの小物を買い取ってくれる物好きは多い。そのお金は将来の為に貯めたり、服や小物の制作費に使っている
最初はジェイに生活費として渡そうとしていたけれど全部返されてしまった。必要が無いそうだ
日が傾き始めた頃に夕餉の支度を始めた。少し多く作ってしまったけれど、明日の朝ごはんにすれば問題ないかなと火を止めるとドアの開く音がした
『おかえりなさい、ジェイ』
「ただいま…
ほら、お入り」
「…」
『?
その子は…』
生者?それとも死者?という質問は飲み込んだ。前にその質問をしたらお客さんが暴れたのを思い出したから
銀髪の髪に同じ色をした瞳。自信なさげな顔でこちらを見る姿はうさぎのようだ
「この子は新しい家族だよ…
イソップはカナリアより1つ上だからお兄さんになるね」
『兄、さん…そう…』
生者なことに安心をした。私と同じぐらいの子供が眠る為のお洋服を作るのはなんとなく嫌だから
不安気な顔でこちらを伺う兄に近づき笑みを浮かべる
『私はカナリア・カール
これからよろしくね。イソップ兄さん』
「あ…よ、よろしく…」
『今ちょうど夕餉が出来た所なの
2人とも早く座って!せっかくの料理が冷めちゃう!』
玄関で立ったままの二人の手を引き席へと誘導する
いつもより一つ多くお皿を出し、できたばかりの料理を机に並べていく
手を合わせてお祈りをしてからご飯を食べ始める
味見はしてあるし、不味くは無いと思うけどどうかな…
「…おいしい」
そう言って微笑む彼の顔を見て少し安心しながら私もスープを飲む
軽い談笑をしながら食事をしてる中でわかったのは、兄…イソップはとても普通の人ということだ
常識人の彼がここで暮らすのはきっと…
とても辛いだろうなという言葉を水で飲み込んだ
【第1話】
fin