人狼
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この体は面白い私は死んでいるのに空腹も眠気もある
だからか、たまにまだ生きてるのかもって思う時がある。私はちゃんと死ねたよね?母様…
だって死ねていないなら私はあそこに戻らないといけない
窮屈で退屈で…私のことを道具としか思っていないあんなところにいないのといけないのは嫌だ…
『…目が覚めちゃった』
あまり楽しくはない夢を見ていた気がする
この可愛らしいパジャマだからかな…?でも、せっかくヴィオレッタが作ってくれたから大事に着たい
いつもと違って肌がほとんどでていないのが窮屈だけど、まるであの家にいた時のような服…
…なんだか、人恋しくなっちゃった
外を見るとサバイバーの屋敷が目に入る。どの部屋も真っ暗で誰も起きていないのだろう
それでも、どうしても最近会えなかった彼に会いたいと思ってしまった。こんなにも、心が引かれるのはどうしてなのだろう…
窓を開けベランダから飛ぶように降り彼の匂いを探した
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《イソップ視点》
肌寒さで少し目が覚める。窓を開けたままだったろうかと寝返りをうつと何やら固いものが…こんな所になにか置いただろうか?と覚醒しない頭でそれを触ると身じろいだ
…身じろいだ?うっすらと目を開けると僕の顔を覗き込むルーヴさんの瞳と目が会い驚きのまま飛び起きると腕を掴まれた
『そのままだとベッドから落ちちゃうよ』
「は、え?あ、ありがとう…ございます…?」
『ふふっ、どういたしまして』
ルーヴさんは先程まで人の姿だったのに一瞬で人狼の姿になり、ベッドから落ちないように引き上げられた
そうした後すぐさま人の姿に戻る彼女はどこからみても僕らと同じ普通の人に見える。ただ、生きている人間ならありえない程低い温度の体だけが彼女を死者だと告げている
深呼吸をして落ち着いてから改めて彼女をみると、普段の格好からは考えられない可愛らしい…まるでどこかのご令嬢のような寝巻きで僕のことを覗き込むものだから顔に熱が集まる
「こ、んな、夜中に…どうしたんですか?」
『夢見が悪いの…とても…』
四つん這いで僕の上に乗り上げてくるルーヴさんはどこか色気があり戸惑ってしまう
襟元が重力に従い下に下がり胸元が見えそうだ…
『聞いてる?』
「す、すみませ…」
『…ん、許してあげる
だから頭撫でて、抱きしめて』
少なからず寝ぼけているのだろうか、前に会った時の余裕がある甘え方ではなく
子供のように僕の肩に頭を押し付けてくる彼女の姿に戸惑いながらも、腕を回し頭を優しく撫でる
強く力を入れれば折れてしまいそうな程細い体なのに、ナワーブさんと渡り合える程の脚力があると聞いた
しかも本人の様子を見るに本調子ではないのにだ。でも、何故か彼女を見ていると守りたいという気持ちが強まってしまう
ルーヴさんも彷徨う亡霊だから僕が納めてあげないといけないのに…もう少しだけ彼女といたいと思ってしまう…いけないことなのに…
『ふふっ…ぎこちない撫で方…』
「あ、すみません」
『やめないで…私、イソップに撫でられるの好きだから』
手を離そうとするとすぐに制止されてしまった
捨てられた子犬のような表情をする彼女に少し心がザワつく
このまま放っておけばいなくなってしまうような。そんな気になってしまう
「ルーヴさん…」
『なぁに?』
「どうして…この部屋に?」
沈黙が流れる。聞いてはいけない質問だったろうか…それでも1番気になっていたことで
なんで僕なんかのところに来たのか気になっていたから
撫でる手は止めずに顔を覗き込もうとすると小さくなにか呟いた
「ルーヴさん?今、なんて…」
『なんでもない…
ねぇ、イソップはどうしてここにいるの?』
「それは…」
彷徨う亡霊達を納める…つまりは、貴方達を納棺する為だと言ったら彼女はどうするだろうか
怖がる?戸惑う?受け入れる?それとも僕のことを…嫌いになってしまう??
ふ、と彼女が僕から逃げてしまう姿を想像してしまう
『イソップ…?』
気づいた時には彼女を力強く抱きしめていた。ルーヴさんは身じろぎはしたけれど、離れようとはせず背に腕を回してきた
自分よりも小柄で、今は人と変わらない姿だからとても細い体…でも健康的な柔らかさはあって温度さえあれば生きているような錯覚さえ覚えそうだ
「質問…答えてくれてませんよ
だから僕も教えません」
『…そう』
ねぇ、一緒に寝てもいい?と言いながらも目をつぶる彼女に、帰る気はないのでしょう?と返し一緒にシーツに潜る
体温のない彼女を温めるように包み込みながら抱きしめると抱きしめ返される
今はまだこのままで…
【第5話】
fin