人狼
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《イソップ視点》
さすがに30秒という時間は僕らには短過ぎたのだろう。エマさんと僕は早々に見つかってしまったが、未だにルーヴさんが見つからず時間が過ぎてもでて来ないものだから手分けをして探すことになった
彼女の足ならあの短い時間でも遠くまで隠れているかもしれないと思い。庭園の隅々まで探すがなかなか見つからず2時間が経過しようとしていた
もしかしたら、先に屋敷にいるかもしれないとレオさんとエマさんはハンターの屋敷を見に行ってくれている
もうそろそろ諦めてイライさんあたりにも手伝ってもらおうと思った矢先にふ、と誰かの寝息のようなものが聞こえた
音のする方へゆっくりと近づくと、薔薇の庭園の端の方に丸まりながら寝ている大人の狼がいた
「…ルーヴさん?」
耳が少し反応を示したけれどすぐに垂れ下がる
右手の手袋を外し恐る恐るその体を撫でてみると、見た目に反して低めの温度が手に伝わる
呼吸はしているのに温度は低い…生きている人の温度では無いことに少しの寂しさと、高揚を感じた
彼女を納棺できたらとても素敵なのだろう…でも、そうしてしまえばもう触れることも話すことも出来ない…そう思うと胸の奥が傷んだ気がした
『イソップは撫で方が下手ね…』
「ひ、ぁ、す、すみません!」
『いいよ。撫でられるのは好きだから…
でも、撫でる時はこう撫でてくれるのが私は好きなの』
人狼の姿に戻ったルーヴさんは僕の右手を掴み自分の頭に乗せてゆっくりと撫でるように動かしながら
器用にも僕の左手の手袋を外し、左手は顎の下に持っていき軽くかくように動かされる
先程よりも気持ちよさそうに目を細める彼女を見ていると自分の顔に熱が集まる感覚がした
『ん、きもちぃ…』
「そう…ですか…」
『あ!そういえば、隠れんぼの途中だったんだわ!』
「それなら…もうルーヴさんの勝ちで終わってますよ
…レオさん達も心配していました」
離れてしまった手に名残惜しさを感じた。
そうなの!?悪いことしちゃったわね…っと耳としっぽを垂れ下げながら立ち上がる彼女にならい、僕も立ち上がろうとすると両肩に手を置かれた
どうしたのかと顔を向けるとおでこに柔らかいものが当たった
『今日はいっぱい遊んでくれてありがとう…
また遊びましょ!』
「あ…え、は、はい…」
僕の返事を聞いて嬉しそうにハンターの屋敷に戻るルーヴさんの背中を呆然と眺める
今…おでこに、き、きすされ……いや、挨拶のようなものだとはわかっているけれど
ゆっくりと彼女が触れた場所を撫でる。暫く屋敷に戻れそうにはない…
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《ルーヴ視点》
屋敷に戻りレオとエマに謝罪をする
また遊ぼうなの!と笑顔でサバイバーの屋敷の方に戻っていくエマはとても良い子なんだろうな…と見つめる
レオには次は寝ちゃわないようになと私の頭を撫でた後自室へと戻っていった
…撫るのは好きだし、撫でられるのはもっと好きだ。レオの撫で方は子供がいるのもあるからか上手だった
でも…
『…』
先程、イソップから撫でられた感覚を思い出す。お世辞でも上手とは言えない不器用な撫で方だったけれど、今までに感じたことの無い多幸感があった
隠れんぼをしていなかったら、もっと撫でて欲しかったような。あれ以上撫でられたら癖になりそうだから止めてよかったような…
こんな風に考えること自体もう夢中になりつつはあるのだろう
『また、撫でてくれるかな…』
誰に言うでもない独り言を呟きながら部屋に向かう
明日もゲームがあったはずたから、もしもイソップがいたら真っ先に探しに行こう
それで、いっぱい遊んで撫でてもらおう
【第3話】
fin