私と兄の話
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兄に手紙が届いた。黄色いバラの絵柄が入った綺麗な封筒だった
なんだか嫌な予感がしたけれど…それはただこの花のことを私が嫌っているせいだと思うことにし、手紙を兄に渡してしまった
中身を見た兄は血相を変えて勢いよく手紙を机に置くと、家を飛び出してしまいどこかへと行ってしまった
そんな姿を見た後に残された手紙を見る…
魔が差した。気になり中身を見てしまった
『…ああ』
その筆跡は誰かはわかった。そして嫌な予感は的中してしまったのだろうとも
兄のことが心配になり私も飛び出すように走り出す
行き先は黄色いバラ園…
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とても綺麗な花が咲いているのにあまり人が近寄らない黄バラ園
奥へと進むにつれて聞き慣れた祖父の声が聞こえてきた
そして、中心部につくと兄によく似た女の人が真っ赤に染まり倒れている横で音もなく涙を流す兄と、兄を説得している叔父の姿
よく見れば女性の胸元はゆっくり上下に動いておりまだ息があるのがわかる
『…ぁ』
彼女と目が合った。そしてゆっくりと音もなく紡ぐ言葉を目にした時その場から逃げ出してしまった
どうしよう、どうすれば、そんな言葉が頭の中でまわり続ける
家に戻り自室に入ると急に体の力が抜けた
『どうすればいいと思う…?父さん…母さん…』
その場で目を閉じる。「この子を助けて…」確かにそう紡いでいた
自分の身ではなくて兄の身を…
きっと、このままだと叔父は兄を壊してしまう
それを察しての言葉だったのだろう…でも、私は叔父を裏切れない
どうしよう、わからない…私はどうしたいの
「受け入れてしまえばいいんだよ」
ふ、と。昔叔父に言われた言葉を思い出した
両親が(まだ息をしていた)死んだ時、死者を連れて帰ってきた時、初めて服を死者のために作った時
いつも、そう、言われ続けてきた言葉
『受け、入れ、る…』
そうだ。そうすれば、いつも通りのままでいれる
物分りの良いカナリアならわかってくれるね?
『…もちろんだよ。ジェイ
ああ、仕立てないといけないお洋服を』
【第9話】
(狂っている人は自覚がない事が多いと。昔父が話していたような気がした)
fin
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