私と兄の話
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「話があるから…少し散歩しに行こう」
洗濯物を干し終えた時にそう兄に声をかけられた
散歩だなんて珍しい…
叔父に声をかけて、兄に手を引かれるまま散歩道を歩いた
人気がない場所に行きたいのか、途中から森の中へと足を進める兄に支えてもらいながら歩く
着いた先はとても綺麗な湖だった
『綺麗…』
「ここを見せたかったんだ」
長年ここに住んでいるけれど、こんな場所があるだなんて知らなかった
出かけてもまっすぐ街に行って帰ってくるばかりで寄り道なんてしてこなかったから
「カナリア」
『なぁに?兄さん』
視線を湖から兄へと移す
兄は綺麗な顔を少し赤くしながら私を見つめて両手で私の手を包むように握った
「君のことは僕が守ってあげたい…
いつまでもカナリアのそばに居たい…君の隣は僕の居場所でありたい…
いけないこととはわかってる、それでも、もうこの気持ちが止まらないんだ
僕は、カナリアのことが、好きです」
『……へ?』
予想外の言葉に固まり、見る見る内に顔に熱が集まる
彼は兄だけれど…実際は血が繋がっていない…列記とした男の人で顔は良いし声も性格も素敵で
きっと、環境が違ければ女性にモテていたと思う
『え、っと…私…なんて言えばいいか』
「…っ、少しでもいい
少しでも好意があるなら…僕と恋人になって欲しい…
辛い思いをさせることもあると思う
だけど、僕と一緒にいて良かったって思える生涯にしてみせるから…」
縋るような眼差しに戸惑ってしまう
兄は…いや、イソップのことを私はどう思っているのだろう
おじに捕まった哀れな人で
気弱だけど私が困っていると助けてくれて
たまに見せてくれる笑顔がとても惹き付けて魅力されて…
いや…この間一緒に眠った時に答えは出ているじゃないか
私は…
『…』
「…っありがとう」
私が小さく頷くと手を引かれ抱きしめられた
恐る恐るその背に腕を伸ばし抱き着く
兄の心臓はとても早く緊張しているのは私だけじゃないとわかると、なんとなく可笑しく感じふふっと笑ってしまった
『誰にも言えない秘密ができたね…』
「そうだね…でも、とても幸せだ」
ゆっくりと近づく兄の顔を見つめ…目を閉じる
唇に柔らかいものが当たる。両親に親愛のキスとしておでこや頬にされたのとは違い恥ずかしさが生まれ顔に熱が集まる
離れてしまう熱に名残惜しさをかんじながらも目を開ける
「愛してる…カナリア」
『私も愛してるよ、兄さ…ううん、イソップ』
【第7話】
(いけないこととはわかっていても)
fin