私と兄の話
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兄と出会ってから1年が経った。叔父は兄を連れてきた日から人を探しているらしく、日に日に外出する日が増えていた
先日も朝から出かける時に1週間程家を空けると言って今日が帰ってくる日だ
一体、誰を探しているんだろう…なんだか嫌な予感がする…
『遅いね…ジェイ…』
「そうだね…今日は先に寝ていようか」
その言葉に頷き自室へと足を向けた。少し悩みながら扉の前で1度振り返り
兄が自室に入ろうとする前に駆け寄りその背に抱きつく
「…っ!?ど、どうか、した?」
『兄さん…なんだか今日は不安なの…
一緒に寝てもいい?』
「……珍しいね、カナリアが甘えてくるなんて
いいよ、今日は一緒に休もう」
『!!ありがとう、枕持ってくる』
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2人で寝るには狭いベッドで落ちないように抱きしめられながら目を閉じる
こうしているととても暖かくて安心する
『…昔ね、お父さんとお母さんもこんな風に寝かしつけてくれたの』
「カナリアの…」
『そう…家族で仕立て屋として暮らしてたの
大変なこともあったけど毎日幸せだった…』
「…親御さんは」
『交通事故だったの…
ジェイがちゃんと納棺してくれた…』
「…っ!それって」
兄の口元を手で抑えるそれ以上の言葉を紡がせない為に…
彼の言いたいことは重々承知で、気づいていないわけがないのだ
それでも…私は叔父の…ジェイの手を取った
子供の私だけじゃ生きられないと思ったのか…叔父を1人にしたくなかったのか今になってはよくわからないけれど
叔父の犯罪を見ていない振りをしているのは事実なのだ。変えようが無い…
『それ以上は言っちゃダメ
全部が壊れちゃうだけ…いや、壊れてるのに気づいたらいけないの』
「可笑しいよ…」
『こんな妹のことは嫌い?』
「…今更、嫌いになんてなれない
愛してるよカナリア」
そう言っておでこにキスをしてくれる兄の姿が本当に家族のようで
いや、血が繋がっていないだけで私達は家族なんだ
だから…こんな風に脈が早くなって顔が熱くなってしまうのは裏切ってしまっている気になって
誤魔化すように兄の胸元に顔を埋めるように抱きついた
「おやすみ、カナリア」
『お、やすみなさい…兄さん』
【第5話】
fin